戸籍の調べ方:はじめに全体像のイメージをつかもう
戸籍を取り寄せることで系図を作成できますが、具体的な方法や手順は分かりにくい部分があります。ここでは、その概要と留意点について具体手に解説して行きます。これを読んでいただければ、あなたも今日からご自身で戸籍を請求しあなたのファミリーヒストリーを調べる事が出来るようになります。
戸籍の位置付け:検地刀狩の昔から戸籍はありました
戸籍制度は日本独特の制度です。その淵源は、豊臣秀吉の検地刀狩りに遡ることができます。検地の目的は、名主や庄屋を通じて年貢を徴収する為耕作地面積を測量する事でした。そして、年貢の額は、検知による耕作地面積基準となりました。一方、課税対象者特定の為には戸籍が必要でした。
その管理方法は
では、当時の納税者の方はどのように把握されたのでしょうか。武士は、各藩の分限帳に氏名と石高が記載され、百姓町人は寺社の宗門人別帳で管理されました。年貢を納める義務のあるものが亡くなると、家督相続人が年貢を収めることになりました。この家督という単位での、納税者の管理が明治維新以降整備拡充され戸籍制度として確立されました。
明治時代以降、戸籍制度として台帳管理開始
明治政府が、家督相続と家長制度を全国民に施行しましたおかげで、明治以降ならば除籍謄本で直系尊属のルーツが判明する日本独特の優れた記録が入手可能となりました。是非、このメリットを享受しましょう。なお、明治時代以前は古文書と菩提寺の過去帳で情報を入手して行きます。
除籍謄本収集目的
何故除籍謄本を集めるのでしょうか?それは、戸籍制度を利用して自分の直系尊属が過去に生活していた年代とその子孫の広がりを正確に知る為です。また、本来請求できるのは直系尊属の情報のみですが、実際には傍系尊属の戸籍情報も同一戸籍に記載されている範囲で一緒に入手できます。除籍とは、戸籍から除くことを言いその主な原因は、婚姻・養子縁組・分家独立・転籍などにより別の戸籍に収載されるために抹消する場合と死亡の場合です。また、すべての収載情報が抹消されてから一定年限を経過すると、その戸籍は処分してしまうことが法律で許されています。したがって、除籍謄本の収集は急がねばなりません。
お寺の過去帳や古文書などは遠方だと収集困難
私たちが、自分のルーツを探るには幾つかの方法があります。先ほど出てきた、分限帳や宗門人別帳はまずその在りかを突き止める必要があります。また、たとえそれがどんなに遠方にあってもそこまで足を運ばなければなりませんのでなかなか時間が取れません。一方、戸籍謄本や除籍謄本は、は郵送で請求できるので自宅に居たまま全国何処でも調査可能ですので非常に効率的です。但しこれにも、以下の様ないくつかの留意すべきポイントがあります。
本籍地が異なれば請求先市町村も異なる
- 通常、親の戸籍は婚姻した時の市町村か出身地にある
- 除籍謄本を入手したら、直系尊属の氏名、生年月日、本籍地(出生時、婚姻時、死亡時)と没年月日を判読するが読みにくい記述もある
- さらに遡るには、戸籍筆頭者の名前と生年月日と本籍地の情報が必要
以上の点さえ留意して置けば、戸籍を6代遡れると直系尊属だけで2の5乗の数の64人、父方と母方両家で128人を探し出すことができるのです。では、その調査に取り掛かる前に必要な事前準備について触れてゆきます。
事前準備が系図作成のノウハウ
- 自分の両親と祖父母(計4人)、曾祖父母(計8人)の名前を分かる範囲で書き出す。*系図のブランク用紙に書き入れた図が、戸籍が届いた後の分析を容易にしてくれます。
- 両親と祖父母の本籍地は何処か、可能な範囲で市町村を予測する。
自身の身分証明資料のマスターコピーを作る
- 免許証(健康保険証)、住基ネットカード、マイナンバーカードなど自分の顔と住所氏名を証明できるもの
- 住民票(住民票の現住所に戸籍が郵送される)—引っ越しをしたばかりの方は何処に返送されるか確認する。
- 自分の最新の戸籍*(婚姻時、縁組時、新戸籍作成時)
- *但し、従前戸籍の本籍地が記載されているもの(改正原戸籍)を請求する
自身の戸籍謄本を読み込む
- 父母の結婚前の本籍を特定する
- その戸籍がある市町村を特定する
- 請求すべき尊属の氏名を決める
- その人が載っている戸籍の筆頭者を特定する
- 請求対象者と自分の続柄を確認する
- それを証明する自身の身分証明資料コピーを準備する
- 戸籍謄本コピーの該当ページを並べて赤ペンでマーク
戸籍申請書の作成
- 戸籍のある市町村のホームページに入る
- 戸籍課(係)のページから書式をプリントする
- 申請書の記入
- 請求する証明書は、除籍謄本と改製原戸籍
- 請求対象者が存命で有れば戸籍謄本(全部記載)
- 故人であれば、除籍謄本(全部記載)を請求
- 目的の戸籍筆頭者を記入、その市町村にある筈だと言う証拠をコピー(手元の戸籍の該当箇所)
使い道:「直系尊属の戸籍内容確認の為」か「家系図作成の為」と明記。また、ある人から遡れる限り全ての戸籍が欲しい場合はその旨を記載する。
- 申請書は、必ずコピーを取り手元に保管する
申請書郵送準備
- 返信用封筒を作成し、切手を多めに同封する
- 申請書に記名捺印する
- 申請書式の説明書に書いてある必要資料を同封する
- 本人確認資料(免許証、マイナンバーカード、住基ネットカードのコピー等)
- 欲しい除籍謄本の請求名宛人と自分の関係を示す資料を用意する(自己の最新戸籍、すでに入手した戸籍)
- 郵便局で定額小為替を購入してくる(多めに入れるとおつりが戻ります)
- 受付先の役所の住所と宛名を書いた大きな封筒を作成
上記の資料全部を同封し、郵便局で計量してもらい料金を納めて発送します。
問い合わせ対応
すると市町村の戸籍課から、本人確認の電話が入ります。申請書コピーを見て、以下の点について聞かれたら答えてください。
- 自分が申請した事や目的
- 同封資料に不備があった場合の対応する意思
- 複数謄本が見つかった時は全部欲しい旨
- 不足料金は定額小為替を何時頃送れるか
などです。
新規入手除籍謄本の分析
戸籍の分析と追加請求を繰り返す
- 更に上の尊属の誰の除籍謄本を何処の市町村に請求すべきか
- その場合、戸主は誰か
- 自分との続柄は何になるか
- 請求理由は何か
などを検討して行きます。また、除籍謄本記載内容から下記事項を特定して系図の原稿に、氏名・生年月日・没年月日を追記して行きます。この図を作成しておかないと、自分がどの世代の誰れを調べようとしているのか路に迷うことになります。
ファミリーヒストリー執筆
以上の様な手順で作業を進め行くと、祖先の生き様や家系の寿命傾向が見えてきます。その生き様や史実を、文書に書きため子孫に引き継ぎましょう。
系図に書かれた氏名を順次取り上げ、出身地や結婚した場所、当時の生活ぶりや時代背景、死亡時の様子などを纏めると自分の遺伝因子も解り子孫繁栄のプライスレスな鍵となります。