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相続の最短手順_5つのポイント _その2

相続Q&A

税理士にお願いする際のマナーと後悔しない手順を知ろう

はじめに

このシリーズでは前回「その1」で、手戻りや待ち時間を最小限に抑え無駄無く相続手続きを進める為の、二つのマイルストーンと5つのポイントについて概説しました。
詳細はこちら

今回は、コミュニケーションの質の視点から、専門家を起用する際のノウハウについて説明します。これを、読んで頂くと税理士や弁護士をどの様に探しどうお願いするのが適切か、正しいマナーと失敗のない手順について知ることが出来ます。

他の士業と同様、税理士の先生はどなたも信頼の置ける親切に対応して下さる方々ばかりです。しかし、顧問税理士の様な日頃からお付き合いしている特定の税理士の先生がいない場合、コンタクトして相続のご相談をするのに多少敷居が高い感覚があると思います。それは、税理士との人間関係は「近過ぎず・遠過ぎない」という立ち位置が相続に置ける心理的に最適な距離関係だからです。皆さんは、その事を深層心理の中で感じていますが明確に意識するには至っていません。そこで、この「近過ぎず・遠過ぎない」という基準を脳裏に留めて置きましょう。そうすれば、数ある候補者を絞る作業が飛躍的に楽になります。

何故「近過ぎず・遠過ぎず」か?

税理士の先生は、皆さんの相続税を適切に計算してくれる専門家です。それと、同時に遺産の存否や生前贈与そのたの資産の移動や不動産や有価証券等の資産を適切に評価する税務署の代理人的な職責を持っています。この点、身内や近しい友人関係ですとあなたの台所事情をすべて開示する事に一定の気遅れを感じるはずです。これが、近すぎない方が望ましい理由です。

では、遠過ぎてはいけないとはどの様な意味でしょうか?以下の点を事前に知っておけば後悔のない最適な先生に早くたどりつけます。

地域性を考慮に入れ地元で探そう

税法という法律は、無論全国一律に適用される法律です。しかし、その運用における細かな解釈は実務の先例や当局の通達等行政指導の動向に依存します。更に、土地やそれに付着した権利の評価にはある程度地域性も関連してきます。従って、相続税申告完了までの情報交換の便宜も踏まえて、税理士の先生はなるべく申告先税務署所在地の地元の事務所がお薦めです。

法人か個人事務所か?

次に、法人と個人事務所の比較では、銀行や税理士法人は大都市や主立った街に出先のオフィスがありほぼ地元に近い位置にあります。ただし、大規模なスタタッフで経営する企業ですので当然企業経営上の固定費は個人事務所よりも嵩む事は明らかです。

もし、相続人の数が10人未満で相続財産の種類も10種類程度までであれば、地元の個人事務所に依頼するのがお薦めです。その理由は、顧問税理士や地元でお付き合いのある先生ならば、今後のお付き合いを想定するとあなたにメリットが有るからです。そして、最も急ぐ準確定申告の際やあなたの今後の確定申告の要否も視野に入れ節税戦略を練ってもらえるからです。

また、税理士費用の算定方式の点でも、大規模な法人は詳細な規定の下にで価格設定をする企業ですので柔軟な裁量の余地は限定されています。反面、個人事務所では依頼人の状況に応じて「ア・ラ・カルト」的なメニューで無駄を節減した報酬の見積もりを出し易い傾向にあります。

では、地元密着型のオフィスがあり法人組織の対応力のある銀行や信託銀行はどうでしょうか?こちらも、大企業の一部門としてのビジネスですので相続手続きの内容に関わらず一定のボックス価格が決まっているため、別途法人取引や融資契約など相続以外での特別な事情が無い限りコストメリットは出難い場合が多いと考えられます。ただし報酬は高額ですが、同一金融機関のほとんどの資産を預けている場合で、その金融機関が相続を手掛ける場合は金融資産の目録と金額を算定するのは極めて迅速に完了します。税法や民法に拠らずに、一民間企業内部の知見を整理するだけで財産目録が整う為です。

遺産の規模大きく相続人の数が多い場合、若しくは複雑な問題が絡む相続の場合は、個人事務所と税理士法人の見積を最低1件づつ取り寄せて両者のメリットとディメリットを比較しましょう。

結局は親族がやる事になるタスクを知っておこう

以上どの専門家との契約であれ、下記の様な作業は通常は相続人(又はその代表者)が実施するのが最も効率的でご自身で行う事が一般的です。

  • 死亡届の提出
  • 世帯主の変更届
  • 国民健康保険加入
  • 各種資格喪失届
  • 高額医療費控除申請
  • 葬祭費・埋葬料の支給申請
  • 遺族年金手続き
  • 生前贈与の確認
  • 相続放棄・限定承認の際の裁判所への出頭
  • 自動車保険・火災保険の名義変更
  • クレジットカードや各種会員権の退会届
  • 公共料金(電気・ガス・水道)の変更
  • スマートフォン・携帯電話の解約や名義変更
  • 運転免許証の返却
  • 住宅ローンの返済手続き
  • 預貯金口座の解約手続き
  • 株式・投信・貴金属の名義変更
  • ゴルフ会員権・リゾートクラブその他の名義変更

これらの内で、どれとどれは委任状や印鑑証明書を渡せば代理手続きして貰えるのか、見積もり時点で確認する事をお薦めします。

専門家でなければできない事

ここで、プロでなければ出来ない業務範囲を理解して置きましょう。税理士報酬の計算式を開示している多くのサイトでは、報酬の計算式の根拠には預貯金や有価証券や不動産等の相続財産ばかりでなく、生命保険などの「見做し相続財産」を含めた総額を根拠にしています。では税理士は、なぜあなたに相続権のない他の親族あての生命保険や遺族年金などの資産を含め一定の報酬を受け取る必要があるのでしょう?それは、税理士の職責の中に国税庁のある機能を代行して税の徴収を円滑に進める役割が含むからです。言い換えれば、あなたと国税庁の間に立って不正や見落としのない課税対象範囲を特定しその証拠書類を揃えて裏書きしてくれる事になります。従って、株式の相続や土地又は借地権その他の権利の客観的な経済価値は、税の専門家である税理士でなければ正当な算定根拠を国税庁に証明する事は困難です。特に、非上場株式の評価や、権利の付着した土地の評価あるいはその権利自体の価格評価は税理士・公認会計士の専権事項です

一方、改正民法の施行により「配偶者居住権」が明確化され、内縁の配偶者にもこの権利が適用される様になりました。この点、居住を続けたいと願う配偶者とその家屋の相続人との利害が対立が予想される場合は、躊躇せず早めに弁護士に相談する必要があります。

実はご自身で出来る事

次にご自身で出来ることは何か理解して置きましょう。上記で説明した理由で、税理士は課税対象資産の特定と評価の高度な専門家だということがご理解いただけたと思います。その専門家が、専門外の雑用である付帯業務業務に忙殺されると、多くの業務を抱える先生の業務は停滞してしまい結果的に付帯業務についても多くのチャージを依頼人に賦課せざるを得なくなります。依頼人は、何でも快く受任しなければならない為マナーとしては望ましく有りません。

例えば、本来ご自身でも出来る簡単な手続きは以下のようなものです。

  • 身分関係のエビデンス集
  • 戸籍謄本、除籍謄本、住民票、除票の取得
  • 系図の作成(相続人と被相続人のみ)
  • 相続人の未払金や未納公租公課の通知文書の収集
  • 葬儀費用明細の整理
  • 土地建物等の不動産登記簿の取得
  • 有価証券(上場株式・非上場株式、投信)の保有資料の整理
  • 動産(貴金属・自動車・美術品・家財等)の整理
  • 退職金、各種還付金、の整理
  • 銀行口座の残高証明と通帳や取引履歴3年分の記録作成

これらは、全て税の専門家でなくともご自身でできる事です。無論、相続人はただでさえお忙しい中ですから誰かに依頼するのは勿論当然の事です。問題は、その人選とお願いの仕方です。

税務の繁忙期は避ける配慮

確定申告はよく耳にされると思います。通常は、3月15日が締め切りですがコロナ禍の下での特例として2021年は4月15日まで期限が延長されています。この事は、専門家業務にも影響が出ています。つまり、確定申告の依頼が混雑する2月~4月まで、さらい4月以降で法人の確定申告や財務諸表監査を経て株主総会が開催される6月までは税務会計関係の事務所は繁忙期となります。

しかしながら、一方でご親族の不幸は税理士の手が空く時期を待ってくれる訳ではありません。もし、相続税申告期限が2月~6月に突入する事が解っている場合は、すなわち4月~8月の間に万一の事が起きた場合はなるべく早く専門家と連絡をとり見積を取り寄せて契約しスケジュールに加えて貰いましょう。もし、この事に気づかずに申告期限3か月以内突入しかつ2月~6月の相続税申告をお願いするとなると、ご迷惑をかけることについて然るべき申し開きとより丁重な依頼のマナーが必要となりなます。受任して頂けたとしても、報酬は当然高くならざるを得ません。

 

まとめ

税理士・弁護士と、日頃からお付き合いがあるという方は極めて少ないと思います。その場合は、やみくもにWebサイトの検索を始めなくても済むように、今から心がけて置くことをお勧めします。Webサイトでは、あまりにも「遠すぎ」費用面でも実績面でもコンタクトした当初は何の保証もありません。そこで、ご自身でその確信を積み上げてゆく時間が必要となるからです。しかし、目を引く広告をよく検討してみると結局高くつくか自分には合わないと云う事もしばしばで時間のロスとなります。

あなたの、友人や知人や同窓生あるいはあなたのご家族の友人・知人にこれらの士業の方は居ないか思い起こして置きましょう。思い当たらないときは、お住まいの地域の税理士会の支部はどこか確認して置きましょう。また、自治体や市町村が主催・協賛する、弁護士による無料法律相談の主催団体の連絡先や民間総合調停センター(ADR)の連絡先を控えて置きましょう。それも見つからなかった場合は、行政書士に相談しましょう。貴方の置かれた状況に適した、リスクに応じた専門家の候補の選びと情報の整理を行いあなたに選択しを提示してくれます。

 

 

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