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就活意思決定論①

グループ面接 就活成功のノウハウ
グループ面接

はじめにー人生の分岐点

就職活動や転職活動で、迷う事は沢山あります。それらの、一つ一つの岐路を正しく選択して後悔のない意思決定をするにはどうしたら良いのでしょうか。今回は、筆者がMBA学位を取得した際に研究テーマとして取り上げた意思決定論の内「統合評価と分離評価の選好逆転」理論に基いたノウハウをお伝えします。これをお読み頂くと、あなたが人生の分岐点に出くわした時に好機を逃すことなく正しい選択を行う準備を整える事が出来幸になれます。

人生の分岐点

人生の分岐点

統合評価と分離評価の選好逆転理論とは

人は、ある買い物をする時小さなものであればショウ・ケースの上に対象物を並べて比較出来ます。しかしそれが、アパート探しの内覧では一度に一箇所しか見学できません。従って、部屋に入った時の印象を極力維持しながら次の物件を内覧しますが、それはどんどん薄れて行く印象の中での選択となり僅かな狂いを生じます。

小さなモノは比較可能

小さなモノは比較可能

また、大きなカップに入ったソフトクリームと、小さなカップに山盛りになったソフトクリームは内容量が全く同じでも後者が好まれるという錯覚も実験的に確認されて居ます。例えば、下記の図では左側のAとBの二つの選択肢を同時に千人に見せたところ、全員がBカップの方により多くの金額を払うという回答が得られました。しかし、下図右側の様にAとBを分離して尋ねると、Aカップにより多くの金額を支払うという回答が一定数寄せられるのです。要するに、ここではAカップだけ見せられると、小さな容器がフレーミング効果を与えていかにもアイスクリームが溢れて沢山あり「お得」と錯覚させてしまう為です。

永田久雄_修士論文最終審査発表資料より

永田久雄_修士論文最終審査発表資料より

アパート探しであれば、①予算より安いが条件の劣る物件、②条件は良いが予算が大幅にオーバーする物件を顧客の頭に印象付ければ、それがフレーム(思い込み)となり最後に③その中間の物件を見せれば多少価格が高くても選択され商談が纏まりや易い傾向があります。これは、フレーミング効果と呼ばれます。身近な例では、野球の打席で内角を攻められた直後のバッターが外角の速球に手が出なかったというケースです。この、反射に近い「フレーミング」によって判断力が狂う事を、学術上は「フレーミング効果による認知バイアス」と呼びます。

要約すると、このテーマの研究に依れば検討対象が一つしか無い状況で下した結論は往々にして比較対象を並べて示された時に逆転してしまう(つまり誤った判断をしてしまう)と言われています。リストに全て書き出したり、複数のサンプルを同時に並行して検討できる状況を「統合評価」と呼び、逆に一度に一つしか見たり触ったり試したりできない場合や全く比較対象を与えない場合を「分離評価」と呼びます。

統合比較評価

統合比較評価

就職の面接などの場面では、採用する側はグループ面接などの手法を使いますがこれは「統合評価」の典型例であり、貴方とそれ以外の方を同時並行的に比較しより精度の高い評価を下します。しかし、応募者側には雇用主を同時に並べて面談する自由は与えられて居ません。応募する側と言えども、出来れば相手企業を複数並べて統合評価しブラックな部分があればあぶり出して置きたいものです。では、どうしたら良いのでしょう?

先ずは自己の足跡の棚卸しから

就職や転職の際は、正しい準備が肝要です。先ずは、自分をカタログに表現するつもりで履歴書と職務経歴書に記載する項目をリストアップしてみましょう。最終的には、アピール効果の高い職務経歴書の書き方に清書する必要がありますが最初は書式は問いません。箇条書きで、あなたの経験した業務や研究テーマのタイトルとその期間を開始・終了の年月日を添えて書き出し、自身の強みがどこにあるのかを分析しましよう。ここで重要な点は、自分では当たり前の取るに足らない経験やスキルが、業種や職種によっては貴重なノウハウであり強みになっている事がある事です。これは、リクルート業者以外の貴方の転職に利害関係の無い第三者に客観的な意見を聞くと良いかもしれません。

強みの棚卸し

強みの棚卸し

その次に、それらの経験で何がボトルネックかだったかも追記しましょう。後日面接官の突っ込みどころになる可能性があります。更に、自分の求める職務や職場環境あるいは人生設計に必要な賃金を設定して行きます。ここで難しい点は、自分の就くべき職業が何かわからない場合です。しかし、これは極めて自然な成り行きです。そもそも、特定の職務を経験した事もないうちからそれがやりたいかどうかなど分かるはずがありません。それが、転職の際に次の職業の虚像に騙される原因でもあります。

自分の財産の棚卸し

自分の財産の棚卸し

一般に、学校の進路指導レベルで尋ねる事は大まかな業種の範囲に限られざるを得ず、その反面希望内容が曖昧なまま具体的な求人情報とのマッピングを始めてしまう点に短期退職者続発の根本原因があると考えられます。では、この問題はどう解決してゆけば良いのでしょうか?

何がやりたいのか

貴方が、家業の後継者として決まっていない限り若い方程悩むのが「何をすれば良いか」という問題です。

なにをしようか??

なにをしようか??

この原因は、一つには世の中の職業の舞台裏があまり明確でない事、もう一つの要因としては自分自身が成長過程であるにも拘わらず何をいつまでにどうすれば良いか分からない事にあります。また、どんなに素晴らしいと思って就いた職務でも、長年続けると時としてマンネリ化して来て満足度が低下するのも事実です。ましてや、組織にその他の阻害要因が存在し自分にとって不都合な環境が蔓延してくるとその仕事が嫌になり苦痛に感じる様になる場合もあります。

軋轢も出てくる

軋轢も出てくる

その原因は、何でしょうか?実は、それは就活段階からすでに埋め込まれている原因によります。すなわち、多くの場合職業を選択する際にその虚像と給与だけで判断せざるを得ない点が内在した原因なのです。昨今では、インターネットの普及により企業の業績傾向や一定の職業や職務についてもある程度のレベルまでは情報を入手できます。また、先輩やOB訪問を積極的に行って生の声を集めている方も多いと思います。また、転職であればリクルータが職務内容を記述した文書を提供してくれているかもしれません。しかし、予めブラック企業である事や組織の中の問題点を開示している例は殆んど無いと言えるでしょう。それは、偶発的に発生する場合もあり定常的に起きて居たとしても一種の企業機密として扱われるからです。

この続きは、次回詳しく説明して行きます。

まとめ

人には、認知バイアスという習性があります。そしてそれは、フレーミングが起きた時に助長されます。就職活動の場面では、採用側はグループ面接などで同時並行的に比較しより精度の高い「統合評価」をおこなう事で採用に関わる判断の狂いを予防しています。しかし、応募者側には雇用主を同時に並べて「統合評価」する自由は与えられて居ません。

また、職業を選択する際には、特に留意して居ないとその企業や募集要項の虚像と給与額だけで判断してしまう場合があります。昨今では、インターネットの普及により企業の業績傾向や一定の職業や離職者の生の声などもある程度のレベルまでは情報を入手できます。しかし、予めブラック企業である事や組織の中の問題点を開示している例は殆んど無い状況です。これは、仮に満足のゆく就職先を得たとしてもやがては退職する遠因にもなり得ます。

では、どうすればそれを克服出来るでしょうか?これが、次回のテーマです。

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