事業復活支援金の申請も、いよいよ終盤に差し掛かりました。事前確認の、最終受付日は5月26日(木)ですので、あと余す所ちょうど1か月です。一方、現在の「事業復活支援金 入金までの日数」は、個人事業主で約5日、法人で約8日という状況で、「事業復活支援金 振込手続き中」のステータスへの遷移に要する日数や「事業復活支援金 振込手続き中」から口座着金までの所要日数は安定しています。今後は、ゴールデンウィーク前に一度申請の集中が見込まれます。今回は、事業復活支援金を受給した後の、これから夏にかけての根本問題である「事業の強化」についてご紹介します。この記事を、最後までお読み頂くと今後の貴方の事業の景気動向と、この夏の事業強化対策の道筋を知る事が出来ます。
「お振込み手続き完了」で終わりではありません
多くの申請希望者様が既に「お振込み手続き完了」又は申請済み「審査中」のステータスになっている事と思います。当確認機関で事前確認を実施したお客様は、ほぼ全て順調に口座に着金もしくは申請済み審査中の状態となっておりトラブルは見受けられません。申請システムの「マイページ」も今年は安定稼働し、2月当初に若干システム通信がビジーになった以外特にトラブルも見受けられませんでした。ところで、無事入金された皆様は、宣誓・同意書で約束した第4項を実行していますか?第4項とは何だったか覚えていないという方も多いと思います。当確認機関では、事前確認会議の席上全ての申請希望者様にお伝えして来ましたが、事前復活支援金を受給する要件の一つとして「事業の継続及び立て直し」をする意思があり、その取り組みを「対象月以降に継続的」に行う事を求められていました。そして、申請済みの全ての方はご自身の肉筆署名を以ってこの条項を中小企業庁に対してお約束されました。これが、宣誓・同意書の第4項に記載されている内容です。
立て直し対策の有効性
当確認機関では事前確認会議の際に、時具体的に「どの様な立て直し策」を講じようとお考えかインタビューして来ました。そして判った事は、ご回答いただいた90%の方は「取り組みの具体的内容」がコロナ禍が収まる事を前提としたご回答で、残りの10%の方だけが「たとえ次のコロナ株が蔓延しコロナ禍が悪化しても有効」な取り組み内容となっていました。皆様が署名を以って同意された内容は、事業継続の立て直しを対象月以降継続的に行う事で「サインした時はその意思が有った」と云うだけでは足りません。その意味で、上記の90%の方の当初のアイデアは対策の有効性に乏しく長続きしない余地がありました。会議の席上では、その旨お伝えしコロナ禍が継続しても立て直せる取り組みに切り替えて頂きました。
売上がコロナ前の水準に戻らなくなる共通の理由
事前確認で、この様な質問を受ける機会が無かった方は今からでも遅くありません。ここで、今一度「貴方の事業にとって有効な立て直し策」とは何かについて考えてみましょう。それには、あなたの事業の売り上げが「対象月」に落ち込んだ原因と、コロナ禍の因果関係について分析しておく必要があります。
この2年間、コロナ禍による移動・外出制限から端を発し隈なく全ての業界の経済状況が低迷して来ました。そして、今やそれは一部の業種を除いてほぼ慢性化しています。以下は、当認定確認機関独自の、「コロナ禍と事業の落ち込みの詳しい因果関係」のインタビューに基づくデータに基づきお話します。そこから見えてくる、全ての中小法人や個人事業主様に共通するこ現象は、消費者や潜在顧客からご自身の事業が「忘れれられつつある」という事実です。その事は、もしあなたがホームぺージをお持ちであれば、日々の訪問者の数を示すグラフと実数をコンソールパネルでご覧になれば明らかです。いま、この問題を修復して置きませんと、景気は戻ったのにウチには注文が来ないという事になります。そして後日、なんだ「知っていたらお願いしたのに、うっかり忘れてた」と言う残念な事態になり兼ねません。
消費者が、自身の視野や記憶の範囲内にあれば購買するという傾向は業種ごとによってその強さが異なります。食品や生活必需品は、この傾向が強いのでテレビコマーシャルで常に消費者の脳裏に商品のブランドと何処で帰るかを繰り返し訴える事が有効です。また、これらの商材を扱う事業では最も「消費者の外出・移動制限」が直接的に作用し、コロナ禍の死亡率が下がったり緊急事態宣言が解除されれば比較的短い期間で一定レベルまでは客足が戻ります。但し、通販に慣れ親しんでしまうと、物流コストの割高感が薄まり耐久消費財などはわざわざ買い物に行かずECさいとで購入する比率も上がっています。
逆に、コロナ禍さえ無ければ特に追加的な宣伝コストを掛けなくとも日常生活の中で消費者が店舗を訪ね日々商品棚を眺めるだけで一定の宣伝効果は維持されてきました。
では、その対極に位置し比較的コロナ禍の影響の変動が直接伝わりにくい業種は何でしょうか?それは、B to Bビジネスや一定のノウハウを提供するコンサルティングビジネスの類です。しかし、コンサルタントと言えども提案をする上ではリモート会議よりも直接面談の方が数十倍の情報量が伝わる為、直接コミュニケーションが制限されて来た事が結局事業へのダメージとなりました。更に浮上した新たな課題事としては、これまで企業のリモート勤務やリモート会議が有る程度定着して来たため、全ての業種で直接面談とリモート面談の二つの選択肢が存在する様になった事です。本来、直接面談であれば熱意が伝わりインスピレーションを刺激して進む商談も、リモート面談では契約まで至らないケースもあります。それは、コロナ禍が消えてもこの新たなスタイルが選好されると効率が落ちたままとなる事を意味します。
一人勝ちの業種はどこでしょう?
皆様は、身近な個人事業や中小企業でコロナ禍の中でも業績が伸びている業種をご存じでしょうか?報道等で公表されている通り大手通販や通信デバイス系の大企業は売り上げを伸ばしています。その意味では、一人勝ちと言っても良いと思います。しかし、この様な資本力があり大規模組織としてコロナ禍対応が出来ない事業ではどこが生き延び易いのでしょうか?当オフィスでは、事前確認機関として2月から現在までインタビューを実施するなかで、数十種類の業種の方に接触する機会がありました。そこでヒアリングした情報を、一覧表にまとめたのが下記の様な業界別景況天気図20220423です。
これらの事業主のうち、98%はコロナ禍の深刻な影響を受けておられました。しかし、残りの2%程度の方は、比較的堅実な売り上げをを維持して居られる印象を受けました。そして、その横ばいを維持してきた事業者で共通している点は「補助金」を積極的に活用している点でした。
国や自治体は何に投資せよといっているのでしょう?
今年度も、国や自治体による補助金の募集が開始されています。また、都道府県によっては極めて優遇された条件で補助金の募集をかけるものの、非常に短期間で募集を打ち切ることを繰り返している傾向がみられます。これは、とコロナ感染者数の増減傾向が予測しにくい為税金から投入される財源はあ小規模にならざるを得ない事に起因すると考えられます。従って、日頃から「取り組みの具体的内容」を詰めて置かないと、この様な好機が訪れても為すすべがないまま募集が打ち切られてしまいます。最近募集が開始され、予定より前倒しで直ぐに打ち切られた地方自治体の補助金に「販促費150万円」の上限で4/5まで補助してくれるという「販売促進に関する助成」といものがありました。
これは37万円程度(全体の1/5の金額)を自己負担すれば、150万円の販促費を後日償還してくれるというタイプの補助金です。この助成金の募集要項を見ると、行政当局がどの様な「取り組みの具体的内容」を推奨しているのかを読み取ることが出来ます。というのは、この150万円は具体的に使い道が細分化されそれぞれの限度額が決められているからです。つまり、各カテゴリーの投資金額の上限が販売促進に関わる世間相場であり、それを大きく上回る額の売り込みには一定の留意が必要だという試金石にもなって居ます。
具体的には、以下の様な指定になっています。
|
【助成対象経費一覧】 |
限度額 |
1 |
展 示 会 参 加 費 |
20 万円 |
2 |
小間装飾費 |
35 万円 |
3 |
EC サイト出店初期登録料 |
20 万円 |
4 |
自社 web サイトを制作委託費 |
20 万円 |
5 |
チラシ・カタログ印刷委託費 |
50 万円 |
6 |
PR 動画に係る制作委託 費 |
20 万円 |
7 |
PR するための広告掲載費 |
20 万円 |
出典:事業復活支援金等受給者向け販路開拓サポート助成事業(東京都中小企業振興公社)
募集要項
これを見る限り、事業復活支援金を受給した事業主(個人・法人)に追加予算を割いて国や自治体が奨励したいマーケティング戦略と販促方法手順は以下の様に読み取れます。
②ECサイトに出店するーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーー20万円以内
③上記サイトのQRコードを印刷したカードやチラシを準備する ーーーーーーーー50万円以内
④自社ホームページに動画を掲載して訪問者を増やし、ECサイトへ誘導する ーー20万円以内
⑤展示会へ出店し大勢の潜在顧客と接触し名刺交換やQRカードを配布する ーーー55万円以内
⑥折り込みチラシやDM送付・吊り広告やデジタル広告などを依頼するーーーーー20万円以内 というシナリオです。
ただ、この手順が貴方の事業に有効かどうかは貴方自身が実験してみないと解りません。仮に、この実験に助成金をあてれば良いとお考えでも4/5までの補助では単純計算しても20%相当の自己資金は無駄になるリスクがあります。
無駄な投資を回避する対策は?
補助金ビジネスと云うものがあります。政府や自治体や各種団体が募集する補助金で、500万円から1億円程度の額を上限として金融機関から補助金を抵当にした借り入れを行い事業をおこしたり事業構造を変えコロナ禍を克服する新しい取り組みを始めようと云う動きです。これらは、事業計画書や資金計画明細あるいは見積明細の審査があるため金額が大きくなる程専門家の協力が必要です。この計画書を作成代行し、成功報酬をえるのが補助金ビジネスです。しかし、この専門家に支払う費用は補助金から拠出することは禁止されており自己負担となります。その為例えば、5,000万円の事業資金で新たな取り組みを計画する場合で補助率1/2の時、まず2,500万円が自己負担となります。次に、事業が完了するまでの支払いのつなぎ融資を受ける場合には、残りの2,500百万円に対する借入金利を負担する必要があります。さらに、一般的には補助金採択額の10~15%程度の、応募資料作成費を「補助金ビジネス」経費としてポケットマネーから専門家に支払う必要があります。
以上の事を整理すると、5千万円の事業を行うには以下の経費が自己負担となります。
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支払い項目 |
概要 |
金額 |
1 |
専門家依頼費 |
応募書類の作成 |
7,500,000 |
2 |
銀行借り入れ |
金利負担(年利5%)1年返済 |
2,500,000 |
3 |
融資手続費 |
契約書・印紙・抵当権設定他 |
300,000 |
4 |
自己負担金 |
補助されない1/2の負担金 |
25,000,000 |
|
|
合計持ち出し金額 |
35,300,000 |
従って、「5,000万円の補助金を受けられます。新事業を始めましょう。」というキャンペーンの背景には、「まず、ご自身で3,500万円負担して下さい。その余力のある方に限り、税金から1,500百万円を事業完了後に援助します。」という趣旨になります。要は、補助率1/2の補助金では70%が自己負担になるという事になります。
これをスケールダウンして、500万円や50万円の補助金に置き換えても同じ事が言えます。但し、50万円程度の少額補助金になると補助率は2/3程度になるので多少自己負担率は下がります。仮に、150万円の補助金枠を獲得し販売の立て直しをするとします。補助金応募書類作成は全て自分で行い、銀行借り入れをせず150万円全額自己資金で事業を完結させ後から補助を受けたとしても48%程度の持ち出しとなります。よって、補助率2/3の補助金の自己負担率は約半分という事になります。それでも、75万円投資すれば、75万円補助が貰えると云う事はやはり心に留めておく価値はあります。しかし、ここで最大の問題は何をやるかです。全体の2%程度にあたる、コロナ禍でも業績の横ばいを維持してきた事業者は、以上の様な軽視できない金銭的リスクを取ってでも「補助金」を積極的に活用し次の事業展開を探っておられました。貴方の事業は、如何でしょう。
「事業の継続及び立て直し」の確からしさ
失うかも知れない金銭的リスクが、大きければ大きい程決断の意志は鈍ります。しかし、最も重要な事はある投資をしたとしてもその対策がどの程度確かなのかという確率です。ある格言に「広告の半分は無駄だと解っているが、問題はどの半分が無駄なのかがわからない事だ」という言葉があります。そして、上記の補助金ビジネスに相乗りするかどうかは投資額が大きくなる程、株や債券やビットコインその他の金融資産や不動産資産に自資金を投下する「投機」の色合いが濃くなって来ます。
あなたが、投機ではなく「事業の継続及び立て直し」だけに取りくみたいのであれば、補助金に飛びつく前に2つのステップを踏む方法がお薦めです。その第一は、デジタル集客の実験です。実は、貴方の行っている事業は競合やマーケットサイズの大きさや潜在顧客の数は貴方の事業の市場価値を含め、貴方自身以上に理解している人は世の中に一人も居ません。そういう、貴方も実は良くわからないかも知れません。その様な時は、お客様に聴くのが一番です。ここでお客様というのは、未知の不特多数の潜在顧客の意味です。そこで使われるのが、デジタルマーケティングの手法です。その、最終ゴールは何もしなくてもモノやサービスが勝手に売れて行く仕組みを完成さる事にあります。
実験しました
当事務所は、2月1日から認定事前確認機関としてあるデジタル集客実験を行いました。最初のサイト訪問者は、1日数十名でした。しかし、1か月後には1日千人、2か月後には1日3千人そして現在では1日3千人から5千人の間を行き来しています。この間、サイト開発費もSEO対策費にも1円も支払ってはいません。WEB作成費やSEO対策費用にコストを掛けなくても、GoogleやYahoo上では広告を出している企業よりも上位につける事が可能です。逆に、仮に100万円近い広告費を投下してSEO対策をしたとしても、サイトの内容がある条件を満たしていない限り全く売り上げには結びつきません。
上記のスクリーンショットは、4月のある日のコンソールパネルの表示です。現在では、28日間で9万人の方々が当オフィスのサイトを参照して下さり、その18.2%の方がクリックして下さった事を示しています。そして、28日間の累計で9万人の方がサイトを見て下さると、どの程度のビジネスが成立するかという法則についても確認がとれました。
デジタルマーケティングの出発点
この、「実験結果」の中には、以下の詳細情報も含まれています。
-
何日で自分の存在が潜在顧客から忘れ去られるか
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どうすれば、その忘却線の落ち込みを食い止められるか
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どういう環境の変化で、忘れられがちになるか
-
何がきっかけで再度注目される様になるか
などです。そして、このデータの母数が9万件あれば十分な統計的有意性はあると考えます
次に、ホームページをこの状態にまで育てる為のコストを振り返ります。当事務所では、IT業者の売り込みは一切ご辞退してきました。実験段階でしたので、SEO対策にも広告費にも費用を掛けてません。しかし、その代償としてボランティアとして多くの皆様のお役に立たせていた来ました。時間コストに換算すると相当額ののぼり、広告費やSEO対策に匹敵する時間コストが掛かっています。これを、上記の表で紹介した国や自治体が推奨している販売促進項目の表に即して金額を記入してみます。
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【デジタルマーケティング実験経費一覧】 |
換算額 |
1 |
展 示 会 参 加 費 |
0 |
2 |
小間装飾費 |
0 |
3 |
EC サイト出店初期登録料 |
0 |
4 |
自社 web サイトを制作委託費(自分) |
10時間 |
5 |
チラシ・カタログ印刷委託費 |
0 |
6 |
PR 動画に係る制作委託 費(自分) |
5時間 |
7 |
PR するための広告掲載費(ボランティア) |
400時間 |
仮に、時間単価を東京都最低賃金の1,050円で換算すると、415h x 1,050=435,750円となり、9万3千回のPV(Page Visit)を得るために435,000円のコストが掛かった事になります。
これらの数字がつかめて初めて、上記の補助金を使って有効な対策が可能かどうかの検討ができます。一定の自己負担金や水泡に帰すかも知れないリスクを含め、どの程度の売上増加が期待できるか数値で予測可能になるのからです。今回は、表の4・6・7だけを実施し一定の収穫がありました。つまり、この3つの対策の費用体効果は解りました。しかし、展示会出典やECサイト出店あるいはチラシ・カタログ印刷と配布の項かは現段階では何も解りません。そもそも、コンサルタントビジネスが展示会やECサイト出店に馴染むのか否かから検討しなければなりません。
通販サイトへの出店は有効か?!
従って、「事業の継続的な立て直し」の第二の課題は、コロナ禍を避けつつ売り上げを伸ばす販売チャンネルの検討になります。そして、この段階でも更なるリサーチが必要になってきます。つまり、貴方の事業の販促効果は「展示会出典」や「ECサイト」出典で十分な効果が上がるのか否かを試す事です。つまり、上記の【助成対象経費一覧】に示された各取り組み手法を実験してみる事です。例えば、同じECサイトに出店したとしてもグローバルな大手ECサイトでは、越境ECが可能な反面「量が捌けても利益が薄く採算が取れない」という弊害もあり得ます。
また、貴方の事業が物品販売ではない場合には単純なECには頼れません。集合研修タイプのセミナー開催や、それに続くリモート会議を使ったオンラインサロンの運営などです。その際も、情報の受け皿としての貴方のホームページやブログが有効になるかも知れません。しかし、これもコロナ禍に伴う人流規制に左右されます。この、直接会えないもののそれに類似した効果を上げるのが「動画撮影」によるメッセージ伝達です。場合によっては、手が空いているTV番組ディレクターに20万円でお願いし本格的なPR動画を作成するのも一つの方法です。
まとめ
事業復活支援金が口座に入金し一息つかれている方はご同慶にたえません。しかし、これも遠からず消えて行きます。「事業の継続及び立て直し」に対して、国も自治体も多くの補助金プログラムを提供しています。ここで、何にどう投資するとご自身の事業が回復できるのかを研究し実験しましょう。
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