事業復活支援金の受付が6月17日で終了しました。当事務所の最後の申請代行案件は、新規開業特例(2019年開業)の青色申告個人事業主の事例でした。6月9日(木)の午後申請ボタンを押した所、ステータスが「振込手続き中」に遷移したのが6月15日(水)の午後で、審査に丁度6日掛かりました。更に、口座に入金したのは6月20日(月)でしたので振込手続きだけで2日半かかりました。全体では、申請ボタンを押してから8日半でした。普段よりもやや余計に時間が掛かった印象ですが、新規開業特例枠の点検項目の内容を考慮するとほぼ順調だったと言えます。

この文章を最後までお読みいただくと、既に事業復活支援金受給済の方には入金後の留意点と次の150万円の応募手順が解ります。また、残念ながら未だ審査中で入金していない申請者の方には補正要請等への対応方法をご理解いただけます。

申請後の一番不安な要因は何でしょう?

申請者の誰にとっても、最も不安な事は申請内容に不備があるのか否かという点です。申請ボタンを押してから、丸一日はこのリスクがあるのである程度心の準備をしておきます。しかし、2日目以降からはこの「不備対応」のリスクは低減し、気が付くと「振込手続き中」のステータスに変わっているというのが多くの申請者の方が経験した事だと思います。ただ、困るのは不備があるかも知れない状態なのか或いはただ手続きの順番待ち状態なのかはマイページ上のステータス表示が変わるまで分らない点です。要は、「順番待ちは構わないが申請に不備等があるのかどうかだけは早く知りたい」という点が懸念事項の根底にあります。では、1週間或いは2週間以上経ってもステータス表示が変わらない申請者の場合、どの様な原因があり得るのでしょうか?

不安材料は?
不安材料は?

一つには、添付書類の証明内容が複雑で論理整合性を確認するのに時間が掛かかっている事があり得ます。二つ目は、特殊な事例だと受給資格要件そのものを具備しているか否かの判定にも多少追加の時間は必要です。そして三つ目は、あり得ないとは思いますが、何らかの事情で忘れ去られて棚上げになっている場合です。この最後の場合だけは、コールセンターに問い合わせ状況を訊くと良いと思います。通常は、何も教えてくれませんが丁重に何度かお願いすれば何らかのアラートを与える事に繋がる可能性があります。尚、1週間以上待った後に不備の指摘が来た場合は、落ち着いてメッセージの文面をよく読み行動を起こしましょう。指摘事項は、客観的で無駄のない短い表現ですので意図をくみ取る事が困難な場合もあります。ご不明な点は、当事務所にご質問頂ければお役に立てると思います。

それから、首尾よく受給できた方は、振込完了のお知らせメールやハガキが届きますので捨ててしまわない様ご留意ください。これは、後でご紹介する次の補助金申請資格を証明するのに必要です。

参議院選挙が始まりますが。。

どうやら、事業復活支援金の余った約一兆円の予算を同一の枠組みで再給付する事を選挙公約に織り込む妥当性は失われた模様です。その理由は、コロナ禍の収束傾向にあります。下図は、東京都のコロナ感染者数推移のグフラフですが、ピーク時の11%程度にまで収束して来ています。この状況では、多少の増減は続くものの緊急避難目的の支援金バラマキを正当化できるレベルにはありません。従って、別の「自助努力」の道に税金を使う方向に進まざるを得ないと考えられます。では、コロナ禍で傷つき円安と物価高で厳しさを増して行く景気・経済に対して現在どの様な支援策があるのでしょうか?

6月22日時点の東京都感染者状況
6月22日時点の東京都感染者状況

この点については、東京都労働産業局が下記の様なページで案内しています。この助成金リストの一番上に興味深いものがありませす。

東京都労働産業局
東京都労働産業局

更に展開してみると、事業復活支援金受給者限定の助成金制度になって居ます。これは、補助金であり一定範囲は自己資金の拠出が必要です。しかしその一方で、他の補助金と異なり難しい事業計画書の作成や審査が軽減されています。また、事業復活支援金の受給を受けていない方には応募資格がないというユニークな制度です。よって、専門家に委託して事業計画を書いてもらったり添削してもらうという余計な応募経費を負担しなくても済むという特色があります。但し、事前エントリーは早い者勝ちです。

受給者限定の助成金制度
受給者限定の助成金制度

事業復活支援金受給者限定助成金(事前エントリー7月14日まで)

この助成金の概要は以下の通りです。

  • 概要:都内中小企業者(個人事業主等)向けに支給する、ECサイト出店登録・自社Webサイト制作にともなう販促費用(動画作成やチラシ印刷及び配布等)の助成
  • 対象期間:令和4年10月1日~令和5年10月31日に、発注・実施・支払いが完了する経費。
  • 助成限度額:150万円(補助率4/5)—37.5万円の自己負担で150万円の補助金を貰える計算。
  • 応募方法:
    ①事前エントリー(令和4年6月17日~令和4年7月14日17時まで)を行い整理番号を貰う。
    ②整理券保有者に、予算の範囲で先着順に申請案内が来る模様。(令和4年7月中旬詳細発表予定)
  • 交付決定:令和4年10月1日より順次
  • 申請要件(資格)
    ①都内に事業拠点があり、事業税等を滞納していない事を証明する文書が提出できる事。
    ②「事業復活支援金等」の受給を確認したことがわかるもの(ハガキ・通知書・メール)
    提出できること
    ③他の助成事業の交付決定・申請がない事ーーーその他

何に使えばよいのでしょう?

では、この150万円を使い行政当局は何を行う様誘導しているのでしょうか?これは、経済全体の刺激策ですので支払う立場の都合よりも、これによって活性化して行く業界に着目すると良くわかります。以前ご紹介した、「業界別景況天気図」を合わせてご参照下さい。

先ず、全体で最大150万円と言っても内訳の限度額が設けられているのがこの助成金の特徴です。例えば、必ず一つ以上絡めなければならないコアとなる出費項目としては下記のものが指定されています。

  • 展示会出展参加、ECサイト出店登録(20万円以下)、自社Webサイトの制作(20万円以下)のいずれか一つ以上
    *但し、リアル展示会への出店費用には制限なし

これに付随し、使用が許される販促費用として次のものが指定されています。

  • チラシ・カタログ・パンフレット・ノベルティの制作---50万円以下
  • PR動画制作ーーーーーーーーーーーーーーーーー---ー20万円以下
  • PR広告掲載費ーーーーーーーーーーーーーーー---ーー20万円以下

以上を要約すると、先ず政策的には経済活性化の為に人流を増加させて行きたいという意図が読み取れます。大規模な、リアルへ展示会場への出店参加者が増加すればブースの制作や資材の消費やスタッフの労務費等が増えます。またその一方で、コロナ禍の揺れ戻しに備えデジタルマーケティングも視野に入れています。

貴方ならどう使う??

貴方の事業が、物品の製造や販売でればリアル展示会に経費を集中するのが良いでしょう。逆に、土木・建設業や運輸・旅行・サービス業であれば展示会よりもデジタルマーケティングに投資するのがお薦めです。最も望ましいのは、両者の組み合わせたハイブリッド方式ですが、150万円では予算規模的に困難かも知れません。後者に集中する方向で、売り上げを伸ばすなら以下のようなアプローチがお薦めです。エアコンを使うシーズン中は、やはりデジタルマーケティング戦略のがより無駄が少ないと考えられます。

  1. 自社Webサイトの制作を依頼し、EC決済モジュールを埋め込むーーーー(20万円)
  2. 動画制作を依頼し、自社Webサイトに埋め込む ーーーーーーーーーーー(20万円)
  3. 上記のQRコードを印刷したチラシ・パンフレット・ノベルティ制作する(50万円)
  4. チラシのDM発送業者への委託費またはインターネット広告を打つーーー(20万円)
                            合計       110万円

資金内訳は、自己資金275,000円、助成金825,000の受給で合計1,100,000円です。(税抜き)つまり、無理に150万円助成金を受けようとせず可能な範囲の対策だけを実施するという手法です。

そして問題は、110万円の投資をした場合、投資効果がいつ頃からどの程度の売上額で返って来るかです。この点に言及できない、ITツールやシステムの構築或いはSEO対策の売り込みにはくれぐれもご注意ください。

エントリー方法は?

下記スクリーンの中央付近の をクリックするとエントリー画面に遷移します。

事前エントリーページ
事前エントリーページ

入力項目は極めてシンプルで、直ぐに終わり以下のような画面が出れば了です。

事前エントリー①
事前エントリー①

このサイトの、設計思想はよくわかりませんがエントリー時自動応答メールは届きませんでした。念のため、ご自身の整理番号はメモを残すか写メを取って置きましょう。

事前エントリー②整理番号はメモしましょう
事前エントリー②整理番号はメモしましょう

まとめ

以上が、東京都労働産業局と東京都中小企業振興公社が提唱するコロナ禍からの復興策であると販売促進に関する助成【募集要項】から読み取れます。事業復活支援金申請の際、あなたがサインした宣誓同意書の第4項に対応します。それは、「事業の継続及び立て直し」の取り組みを継続的に行う事でした。その資金源が、この最大150万円という助成金です。まずは、上記の内のECサイト出店登録(20万円以下)か自社Webサイトの制作(20万円以下)のどちらか一方だけでも良いと思います。飲食・旅行業から、経済復活の兆しがあります。先ずは、あなたの事業もリスクの少ない方法で、新たな展開の小さな一歩を踏み出されては如何でしょう。

当オフィスでは、ITを活用したデジタルマーケティング戦略について過去5か月の実績と統計値を踏まえごお客様のご相談にお答えいたします。