この記事の概要
この記事は、コンサルタント系個人事業主で以下の点を知りたい方向けに書かれています。想定する事業モデルは、 個人事業主で専従者以外の従業員がいないコンサルタント(カウンセラー、旅行アドバイザー、コピーライター、コンテンツクリエーター、音楽家、通訳翻訳業の方)などです。これらの方々を、以下本文中で「貴方」と呼びます。

記述テーマは以下のカウンセラーの補助金3選にまつわるテーマです。
さて、これからご説明する内容は次の3つの論点に絞っています。
・2025年個人事業主必見!の補助金概要
・貴方の事業形態に適した補助金は何か
・年明け最もお進めな耳寄り情報の助成金
補助金の留意点
所で、2020年には、50万円~150万円の事業復活支援金等を獲得した方も多いと思います。しかし、この記事で取り上げる「補助金」の受給は、給付金型の助成金とは大きく異なる点があります。それは、補助金は採択されても直ぐには入金されない点です。つまり、先に全額自己負担で事業を完結させる必要があります。多くの場合、1年程度経ってから初めて請求し審査を経てから入金されます。その為、この補助金が入金するまでのつなぎ資金が必要となります。この、先に持ち出した資金を後で清算すると云う仕組みを深く意識しないまま応募され「資金不足」に陥る例も見受けられるのでご留意ください。

日本政策金融公庫の活用も
もし、お手持ちの余剰金がなければ、日本政策金融公庫などで有利な融資の確約を取り付けておく必要があります。2025年の補助金の中には、上限数千万円というものもあります。しかし、事実上このつなぎ資金調達可能額がこれからご紹介する各種補助金の応募可否に影響します。尚、融資相談についても窓口や手順について別途ご紹介します。この金融機関では、創業支援以外にも「販路開拓」のための融資にも力を入れています。

2025年必見!カウンセラーの補助金3選
さてここからは、冒頭ご紹介した「コンサルタント系個人事業主の方」の中で、具体的にカウンセラーの事業を営む場合をイメージし具体的に解説して行きます。読者の立ち位置を明確にした方が、補助金の特性を浮き彫りにし易くなるからです。
さて、2024年12月24日国会の会期が終了し補助金予算も確定しました。これをれを踏まえて、関連省庁で運営事務局の公募が始まりました。12月26日現在で、一部の新制度をのぞき補助金の種類と概要はほぼすべて公開されました(公募要領はまだ先です)。この記事では、この内の代表的な2つの補助金を詳しく見て行きます。
IT導入補助金
最初は、IT導入補助金です。これは国の補助金の中で、最も早く公募が開始される事が予想されます。

IT導入補助金の給付目的
この補助金は、日々の業務の効率化や自動化のためのITツールの導入をサポート(日々の業務の効率化や自動化のためのITツールの導入をサポート)することを目的として募集されます。
IT導入補助金の活用方法(使い道)
これは、あらかじめカタログ登録されたサービスやIT機器の中から選び応募する方式を採用しています。1つの纏まった業務の流れをIT化によって省力化できるやソリューションを開発業者が予めカタログに登録しそれを申請者が補助金で購入する仕組みです。但し、実際の申請は登録業者が行います。
利用効果
顧客管理・カルテの管理・議事録の管理・スケジュール管理など2025年からは、クラウドサービス使用料最大2年分と保守運用の導入費用も対象になりました。
カタログの探すには、下記の検索サイトを使います👇(但し、2025年分は現在準備中のため未だ検索してもヒットしません)
出典:事例を探す(事例ナビ)|経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus
IT導入補助金の活用事例
また、この補助金による成功事例は、中小企業庁のホームページに紹介されています。
出典:補助金の申請事例・IT導入補助金① | 経済産業省 中小企業庁
更に、その他の補助金枠によるIT化の成功事例も同じく中小企業庁のミラサポサイトに多数紹介されています。
- スマホによる訪問介護記録導入で、専門職の力を一層活かせる体制に- 事例を探す(事例ナビ)|経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus
- iPadで予約から顧客カルテ会計までサービス強化でリピータ増へ- 事例を探す(事例ナビ)|経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus
- データ活用はビジネスに必須・低価格でリプレースに成功- 事例を探す(事例ナビ)|経済産業省 中小企業庁 ミラサポPlus
事例から見る、あなたの事業との親和性
つぎは、成功事例を整理してみましょう。上記の事例からわかる通り、IT化の大きな狙いの一つはルーティーンワークの効率化や資料作成の時短です。例えば、請求業務や入金管理の自動化により繰り返し作業をなるべく減らそうと云う意図です。しかし、人間の行う複雑な事務手続きやプレゼンテーション資料等の作成業務は自動化しても一人当たりの効果は僅かです。そして、設備を持たず従業員も(専従者以外)ほぼいない場合は、規模の経済性を考慮すると費用対効果の面で、投資や運用習熟にかかるコストと手間に対してその効果は割に合いません。従って、一般的に社内業務は事務方の業務軽減については、従業員が大勢いるほど効果が上がりますが、逆に1人で事業を行う場合は効果が半減します。従って、個人事業主で最も優先される課題は内部の事務処理よりはむしろ、顧客や患者様のコンサルティング内容の記録管理とその分析など膨大なデータを処理し管理する分野ではないでしょうか。
貴方の場合
そこで改めて、貴方の事業を主眼に置いて検討した場合、コンサルタント系で顧客や患者さんをお持ちである事を考慮すると、この補助金を活用して以下の様な分野で効果が期待できそうです。
- カルテや議事録或いはセミナー案内名簿などのクラウド上でのデータ管理
- 販路開拓や、潜在顧客へのマーケティング対策
- ご自身のノウハウを凝縮した診断ツールなどの開発
- また、クリエーターや音楽家の方であれば、少し贅沢な機材を仕入れるのも良いでしょう
IT導入補助金額上限と補助率
次に、補助金額を検討する際には補助枠というものを知っておく必要があります。
この補助金の枠組みは大きく4つあります。それは、
①通常枠
②複数社連携IT導入枠
③インボイス枠
④セキュリティ対策推進枠
の4つです。

IT導入補助金通常枠
上記の図の内、通常枠はITツールの業務プロセス単位で補助金額が規定されており1~3プロセスまで5~150万円です。また、この業務プロセスと云うのは、例えば業務効率化の為の予約管理プロセスや勤怠管理プロセス等の一連の業務の括りを意味します。個人事業主で、何らかの自動化で改善したい業務プロセスがあるならばこれはお薦めです。理由は、冒頭ご紹介した通りご自身の立て替え資金があまり大きくならない範囲で済み資金枯渇リスクが低いからです。
IT導入補助金のインボイス特例
但し、インボイス枠応募については慎重に検討する必要があります。インボイス制度自体の特例優遇措置で、初年度の免税事業者からの仕入れによる顧客の消費税負担額は2%でした。そしてこれは、今後年を追うごとに増加して行くのは事実です。しかし、現在あなたにインボイス登録を迫る顧客がいない場合や、顧客そのものが企業ではなく個人のお客様が多い場合はインボイス番号を取る必要性有りません。また、特に前々期の売り上げが1千万円を超えない場合は慌ててこの特例に飛びつく必要はありません。それは、この枠に応募するとかえって(消費税追加支払いと云う)持ち出しが増え逆効果となる懸念があるからです。
尚、前出の表を見て頂くと、「PCやiPad」の購入に10万円の補助が出る事になって居ますが、これはあくまでもこのインボイス枠の中でのお話です。新規ソリューションを導入したのに、PCが古くてフリーズしてしまうと云うケースに対応するものですので、PCやiPadを何台購入しても最大10万円までの補助です。ご注意ください。
IT導入補助金の今後の注目ポイント
今後、公募があった際期待できる点は、安価なITツール活用と4/5の補助率がどのような形で提示されるかです。
IT導入補助金のお薦め度は△
今後公開される登録製品のカタログの品揃え次第ですが、製造設備を持たないコンサルタント事業者が活用できる機器や装置あるいはソリューションがどの程度豊富に掲載される可能性は不透明です。但し、申請者からの申し出でソリューションをテーラリングできる見込みですのでその自由度によっては楽しみな補助金とも言えます。
尚、この補助金の枠が複雑に分岐する背景は何でしょうか。それは、複数の省庁のご都合が相乗りし、使い勝手の制約を強くしている事に起因している印象を受けます。最低賃金の安易な上乗せ圧力(厚労省)や、インボイス枠値増し(財務省)の要望などです。

小規模事業者持続化補助金
さて次は、小規模事業者持続化補助金です。この補助金の給付目的は、小規模事業者が作成した経営計画に基づいて行う販路開拓の取組をサポートする事です。以前は、コロナ禍で傷んだ経済を立て直すため給付されたものでした。感染症が収束した現在でも、その影響は尾を引いているため継続されている制度です。この補助金は、4つの類型に分かれ更に一般類型には更に4つのパターンがあるので合計7つのコースに分かれやや複雑です。

持続化補助金活用方法(使い道)
この補助金の内容を、いきなり全部理解しようとすると複雑です。しかし、冒頭で設定した貴方の事業形態を当てはめると、インボイス特例と賃上げ特例は除外できます。また災害支援枠は、現地に出向く御用のあるコンサルで無ければこちらも除外出来ます。また、創業型は事業を始めて5年以内の方に限定され、共同・協業型では10以上の事業と共同しなければなりませんのでここでは除外します。そして最後の、ビジネスコミュニティ型は、商工会や商工会議所と共同で事業を進める必要があるので除外しておきます。そうすると、使い勝手の良いカテゴリーとしては一般枠の通常枠だけが残ります。
持続化補助金応募には事業計画書が必要です
この一般枠の主たる目的は販路開拓です。そして、貴方の販路開拓構想の目論見の確からしさを証明するために申請者は最初に「事業計画書」を作成する必要があります。また、その経営計画書を作成するには、地元の商工会や商工会議所のサポートを受けることが推奨されています。これは、当「経産省認定経営革新等支援機関」でもご相談頂けます。

持続化補助金活用事例
次に、活用実績を見てみましょう。2024年最終回(第16回)採択事例集はこちらです。数が多いので、関東地区のみの事例を抜粋しました。このリストの中で、法人番号がブランクになっている事業が個人事業主の事例です。S23_16_kanto
これを見ると、コンサルタント系事業に参考となる事例としては、診断ツールの開発・分析システムの構築があります。また、ECサイトの構築やホームページの作成による公告宣伝も多く見受けられますが、前出のIT補助金と異なり、この補助金ではチラシや展示会出展などの従来型の広告活動を主体とすることが前回までは義務付けられていました。従って、これらのIT施策は枠が決められていない点は良いものの、金額としは全体の1/4以内などの制限が課されていました。2025年もこの点が変わらないのかが気になるところです。
貴方の場合
この補助金は、IT技術のみに頼らない総合的な販路開拓施策や設備・看板等の製作、ロゴのデザインなど幅広く物理的な広告宣伝活動に利用されています。しかしボトルネックは、金額が比較的小さい為資金枯渇リスクが小さい反面あまり大規模な施策は期待できない点です。総合的販路開拓施策と云っても50万円だけでは、ありきたりの効果しか見込めないかも知れないからです。課題は、どの様な販路開拓施策が貴方の事業拡大に有効か一度じっくり考えてみる必要があるという点です。
持続化補助金補助金額上限と補助率
通常枠の補助金額は50万円、補助率は2/3であり直前年度が赤字だった場合は3/4です。

持続化補助金今後の注目ポイント
この補助金は、ホームページの作成や改修に使えます。カタログ製品の、IT補助金と異なり貴方の事業にマッチしたソリューションの導入が可能です。今後、公募案内が公開され時に真っ先に確認したい点は、IT系の費用比率の縛りが何%程度かという点です。全体の総額投資額で、75万円(50÷2X3=75)しかないわけですからその一部で果たして何が開発できるかという問題が残ります。この点、1万円でチラシを印刷して4,000部のDMを出すだけであればかなり潤沢な予算となります。しかし、最大のポイントはやはり、果たしてそれが「どの程度有効か?」と云う点や「どの様な販路開拓手法が最も有効か?」という問題です。
持続化補助金お薦め度は△
円安が更に進みつつある現在、足元ではインバウンド観光客をターゲットにしたツアーコンサルタントや、通訳翻訳事業者の方などにはお薦めです。国内のコンサルタント系で、顧客や患者さんをターゲットにした事業では、診断ツールやバーチャルサロンの開発などを含めホームページの作成や改修を検討されるチャンスです。
【耳寄り情報】個人事業主向け年明け一番のお薦めはコレです!
以上は国の補助金施策でしたが、ここで東京都の耳寄りの助成金募集があります。先ほどの、IT導入補助金の紐付き補助や「事業計画書」の要求までしていながら50万円規模と小さく纏まった補助金に物足りなさを感じる方にはこの助成金がお薦めです。
公益財団法人東京都中小企業振興公社が管理者
これは、東京都が推進するもので東京都中小企業振興公社に運営を移管しています。応募資格は、東京都内に本店や支店等事業拠点がある事業者です。タイトルは、「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援)(一般コース)」とやや長いのですが、中身は個人事業主にとっては実に良く出来ています。以下勝手に略して「経営基盤強化支援助成金」と呼びます。

出典:新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業 | 新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(kankyo-sokuo) | 東京都中小企業振興公社
経営基盤強化支援助成金の給付目的
その目的は以下のように定義されています。「中小企業は、コロナ後の需要回復や消費者ニーズの変化への即応が喫緊の課題となっていま す。一方、エネルギー、原材料価格や人件費の高騰が長期化しており、課題が山積していま す。このため、中小企業の創意工夫を活かして、既存事業を深化・発展させる計画を作成し た場合に各種支援を展開することで都内中小企業者の経営基盤を強化することを目的として います。」
ここから解る通り、1つの項目としては既存事業の範囲を変えずに機器や設備或いはソリューションを導入して補強する事を「深堀」と位置付けています。そして、もう1つの項目は、現業を推定展開する方向で既存事業で備わった知見を応用して派生事業に乗り出すことを「発展」と位置付けています。
貴方の場合
一般的に、補助金額の枠は大きいものに応募した方が有利です。と云うのは、小口の補助金を複数取得するには経過年限が必要で2重受給は出来ない事が殆どです。また、50万程度の額では物足りず焼け石に水となる懸念もあります。その点、この助成金は実質補助金と同じ性格で限度額が800万円です。個人事業主にも応募資格があり、上限額が大きい分使い道に幅があります。又、補助上限が800万円でも、80万円や200万円の申請をするだけでも決して問題有りません。
設備を持たず、従業員もいないコンサルタント業の場合、この補助金の満額を申請する必法は無く「システム等導入費、専門家指導費、不動産賃借料、販売促進費、その他経費」等を選択して必要な範囲で申請するのが賢い使い方です。

経営基盤強化支援助成金の今後の注目ポイント
この助成金の申請開始は、これから年明けに開始されます。今から、年末年始を使って検討すれば十分間に合います。期間:令和7年1月6日(月)9時~1月14日(火)16時※
※申請受付期間中は、全ての申請を受け付けます(先着順ではありません)
→ 令和7年1月6日(月)9時公開予定
尚、この機会を逃しても、下記の通り次の募集の可能性もあります。
募集回 | 申請受付期間 |
第9回 | 令和7年1月6日(月)9時から1月14日(火)16時まで |
第10回(予定) | 令和7年2月3日から |
第11回(予定) | 令和7年3月3日から |
経営基盤強化支援助成金のお薦め度は◎
2025年の手始めに、まずこの助成金を念頭に事業計画を練ってみてはいかがでしょう。一度検討を開始して置けば、後続の経産省その他の補助金応募に切り替える時に極めてスムーズです。
まとめ:貴方の補助金戦略を考えよう
如何だったでしょうか?代表的な補助金で、個人事業主に比較的マッチしたものを取り上げ貴方の事業との親和性を考えるヒントをご案内して来ました。2025年の国の補助金は、全部で8種類あり全て国会で予算決議済みです。今回は、この内の2つにつき個人事業主に適しているものを優先に解説しました。
そして目下の所、個人事業主に最も適して居てしかも使い勝手も金額も優れた補助金は、東京都中小企業振興公社の「新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業(経営改善計画策定による経営基盤強化支援)(一般コース)」である事が解りました。
もしあなたが、補助金に興味をお持ちで来期2025年は何か新しい動きを出したいとお考えならば、回り道をせずにこの補助金を中心にご検討される事をお薦めします。
個人事業主の「成長」に向いた補助金は?
補助金を活用して、貴方の事業を拡大成長させるアプローチとして以下の点をご自身で振り返って頂くには、以下のポイントについて点検されると効率的に進みます。
- 個人事業主の特性は?資金面とリソース規模は?
- 個人事業主の販路開拓で本当に効果的な施策は?
- 個人事業主の投資規模は度程度が適当か?どこで借りられるか
- 個人事業主の多くに見られる共通の課題は「時間と人手不足」
- 課題解決⇒売りM&Aと買いM&Aもある
- 助金獲得メリットとディメリットの再確認
- 今始めるべき行動
- 今後の展望
- 同業者との横の連絡を密にする
- クライアントの要望をリサーチする
- 補助金の専門家を確保する
その他の国の補助金は?
今回は紙面の関係で詳しく紹介出来ません出したが、12月27日現在以下の補助金の予算が確定しています。ご興味があれば、前出の全補助金最新一覧のボタンをクリックしてリストをご参照下さい。残りの補助金の詳細については、後日回を改めて解説して行きたいと思います。最後までお読み頂き有難うございました。