小企業・小規模事業者の皆様へ。1月24日中小企業庁より、2025年のIT導入補助金の公募スケジュールが開示されました。第1次交付申請の受付は、2025年3月31日募集開始予定で、申請締め切りは5月12日の予定です。但し、複数社連携IT導入枠にの締め切りは、6月16日の予定です。

出典:中小企業庁リーフレット「生産性向上を目指す皆様へ」r6_it.pdf
今回は、この補助金の中でも誰でも使える汎用性の高い通常枠に特化して解説します。特に、業務効率化や生産性向上を実現するためのITツール活用事例と申請のポイントを詳しく解説します。最適なITツール導入で、事業成長を加速させましょう。
IT導入補助金2025通常枠とは?
通常枠の概要と目的
2025年のIT導入補助金通常枠は、中小企業や小規模事業者が自社の課題解決に最適なITツールを導入するのを支援する制度です。業務効率化、生産性向上、売上拡大を目的としたITツールの導入を補助します。

出典:中小企業庁リーフレット「生産性向上を目指す皆様へ」r6_it.pdf
この補助金は、企業のデジタル化を促進し、競争力強化を図ることを目指しています。特に、人手不足や業務効率の課題を抱える企業にとって、ITツール導入はこれらの課題解決の鍵となります。この制度を活用することで、企業は最新のIT技術を導入しやすくなり、持続的な成長を支える基盤を構築できます。
対象となる事業者と要件
この補助金は、中小企業・小規模事業者等が対象となります。補助金の対象となるITツールは、事務効率化、顧客管理、マーケティングなどに資するソフトウェア、クラウドサービス、ハードウェアなどが含まれます。詳細は、公募要領をご確認頂く必要がありますが1月29日現在の所未だ準備中となっています。代わりに交付規程を見てみます。

出典:中小企業庁Webサイト資料ダウンロード | IT導入補助金2025
この交付規程の、第9条2項二よれば、対象となる「中小企業・小規模事業者」下記の表に例示されています。①から⑮の様に、様々な業種に対してそのや資本金と従業員数の枠組みが異なります。尚、⑮に特定非営利活動法人(NPO)法人があります。これは、特定非営利活動促進法に基づいて法人格を取得し、法人認証を受けたNPOを示します。従って、土地の登記を行う等の法人格を備えたNPO以外は対象とならないという基準が今回明確化されましたのでNPOの方はご留意下さい。
一方個人事業主は、従業員数が5名または20名以下が目安となって居ます。


交付規程第9条2項1号・2号(P-4)it2025_kitei_tsujyo.pdf
また、ITツールの導入目的に関しても、下記の表一から七に示された様な生産性向上や業務効率化に繋がるものでなければ補助対象とならない場合があります。申請にあたっては、事前に自社が対象となるか、導入予定のITツールが補助対象となるかを十分に確認する必要があります。

交付規程第6条2項(P-2)it2025_kitei_tsujyo.pdf
ただし現在は、これらのITツールを供給する業者が事務局に登録申請し審査を受けている途上です。詳細については、これらのIT業者が正式に登録されたのちに中小企業庁のTool検索のウェブサイトが公開されますのでそこから選択して行きます。

出典:ツール検索先 ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む) | IT導入補助金2024
申請から交付までの流れ
申請には、gBizIDプライムの取得、導入するITツールの選定、交付申請書の作成が必要です。スケジュールを確認し、余裕を持って準備を進めましょう。採択後、ITツールの導入と事業実績の報告を行い、補助金が交付されます。gBizIDプライムは、電子申請システムを利用するために必要な共通認証システムです。詳しくは、前回の関連投稿記事をご参照下さい。こちら⇒【2025年IT導入補助金】を効果的に活用する5つのステップ! – 補助金レーダーサイト

出典:中小企業庁Webサイト新規申請・手続きフロー詳細 | IT導入補助金2025
交付申請書の作成では、導入するITツールの選定理由や導入効果などを具体的に記述する必要があります。また、IT導入支援事業者のサポートを受けながら、申請を進めることも可能です。採択後は、交付決定通知書の内容に従い、ITツールを導入し、導入後の実績を報告する必要があります。

出典:中小企業庁Webサイト交付決定後に必要な手続き | IT導入補助金2025
これらの手続きを経て、補助金が交付されます。申請から交付までには一定の期間を要するため、計画的に準備を進めることが重要です。
ITツール活用事例:業務効率化編
クラウド会計ソフトの導入事例
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを導入することで、経理業務を効率化し、手作業によるミスを減らすことが可能です。インボイス制度への対応もスムーズに行えます。クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードとの連携機能により、自動で取引データを取得し、仕訳を生成できます。これにより、手入力による時間と労力を大幅に削減できます。また、クラウド上でデータを管理するため、どこからでもアクセスが可能であり、リモートワークにも対応できます。インボイス制度への対応機能も充実しており、複雑な税制改正にもスムーズに対応できます。これらの機能により、経理担当者の業務負担を軽減し、企業全体の生産性向上に繋がります。導入時には、自社の規模や業務内容に合ったソフトを選定することが重要です。

顧客管理(CRM)システムの導入事例
SalesforceなどのCRMツールを導入することで、顧客情報を一元管理し、顧客との関係性を強化できます。営業活動の効率化や顧客満足度の向上に繋がります。CRMシステムは、顧客の基本情報だけでなく、購買履歴、問い合わせ履歴、営業担当者とのやり取りなど、様々な情報を一元的に管理できます。これにより、顧客一人ひとりに合わせた最適な対応が可能となり、顧客満足度の向上に繋がります。また、営業活動の進捗状況を可視化できるため、営業戦略の見直しや改善にも役立ちます。CRMシステムを活用することで、営業担当者の業務効率を向上させ、顧客との長期的な関係構築を支援します。導入にあたっては、自社の営業プロセスや顧客管理のニーズを明確にし、最適なCRMシステムを選定する必要があります。

店舗向けPOSシステムの導入事例
スマレジなどのPOSシステムを導入することで、売上データの集計や在庫管理がスムーズになり、経営判断の迅速化に役立ちます。POSシステムは、日々の売上データを自動で集計し、リアルタイムで売れ筋商品や時間帯別の売上動向を把握できます。これにより、商品の仕入れや販売戦略の立案に役立ちます。また、在庫管理機能も充実しており、商品の在庫切れを防ぎ、過剰な在庫を抱えるリスクを減らせます。これらのデータを活用することで、経営者は迅速かつ正確な経営判断を行うことができます。POSシステムの導入は、店舗運営の効率化だけでなく、経営戦略の最適化にも不可欠です。導入するPOSシステムは、自社の店舗規模や業種に合ったものを選ぶことが大切です。

ITツール活用事例:生産性向上編
コミュニケーションツールの活用事例
ビジネスチャットツールやWeb会議システムを導入することで、社内コミュニケーションを円滑にし、情報共有をスムーズに行うことができます。リモートワーク環境でも業務効率を維持できます。ビジネスチャットツールは、メールに比べて迅速な情報伝達が可能であり、グループチャットやファイル共有機能により、チームでのコミュニケーションを円滑にします。
Web会議システムは、場所を問わずにオンラインで会議を開催でき、移動時間やコストを削減できます。特に最近よくお問合せを頂く、建設業の専任技術者が「リモートワーク」を行う場合には充実したツール導入と社内規則の整備も欠かせません。

これらのコミュニケーションツールを活用することで、リモートワーク環境でも従業員間の連携を密にし、業務効率を維持できます。導入にあたっては、セキュリティ対策を徹底し、従業員が使いやすいツールを選定することが重要です。また、従業員へのトレーニングやサポート体制を整えることも、ツールの効果的な活用に不可欠です。
プロジェクト管理ツールの活用事例
AsanaやTrelloなどのプロジェクト管理ツールを導入することで、タスクの進捗状況を可視化し、チームでの共同作業を効率的に行うことができます。これらのツールは、タスクの担当者や期日、進捗状況を一目で確認できるダッシュボード機能や、チームメンバー間での情報共有を円滑にするコメント機能などを備えています。プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握できるため、遅延や問題発生を早期に発見し、迅速な対応が可能です。また、タスクの割り当てや進捗管理をオンラインで一元管理できるため、チームメンバーの作業効率を向上させ、プロジェクト全体の成功に繋がります。プロジェクト管理ツールを選ぶ際には、自社のプロジェクト規模やチーム構成に合った機能を持つツールを選定することが重要です。

SaaS型業務システムの活用事例
SaaS型の業務システムを導入することで、自社に合った業務プロセスを効率化し、担当者の負担を軽減できます。導入コストを抑えつつ、最新のシステムを利用可能です。SaaS型の業務システムは、クラウド上で提供されるため、初期費用を抑えて導入でき、システムの保守やアップデートもベンダーが行うため、自社での負担を軽減できます。また、様々な業務プロセスに対応したSaaSが存在しており、自社のニーズに合わせて最適なシステムを選択できます。例えば、人事管理、営業支援、顧客管理、経理など、幅広い業務プロセスを効率化できます。これらのシステムを導入することで、担当者の業務負担を軽減し、生産性向上に繋がります。導入するシステムを選ぶ際には、自社の課題やニーズを明確にし、最適なSaaSを選定することが大切です。また、導入後のサポート体制やセキュリティ対策も確認しておきましょう。

2025年IT導入補助金申請の注意点
最新情報の確認と準備
IT導入補助金の制度は、年度ごとに内容が変更される場合があります。必ず最新の公募要領を確認し、必要な書類を事前に準備しましょう。公募要領は、経済産業省や中小企業庁のウェブサイトで今後公開され、補助対象となるITツールや申請要件、スケジュールなどが詳しく記載されています。過去の公募要領を参考にするのではなく、必ず最新の情報を確認するようにしましょう。必要な書類は、事業計画書、会社概要、導入するITツールの見積書など多岐にわたります。これらの書類を事前に準備しておくことで、申請期間中に慌てることなく、スムーズに申請手続きを進めることができます。また、申請書類の内容に不備があると、採択されない場合もあるため、十分に確認し、正確な情報を記載するようにしましょう。

支援事業者の選定
ITツールの導入をサポートしてくれるIT導入支援事業者を選ぶことが重要です。実績や得意分野を比較検討し、自社に最適な支援事業者を選びましょう。IT導入支援事業者は、ITツールの選定から導入、運用までをサポートしてくれるパートナーです。ITツールに関する専門的な知識や経験を持っており、自社に最適なITツールを選定し、導入をスムーズに進めることができます。また、申請書類の作成や補助金に関する手続きについてもサポートしてくれるため、申請時の負担を軽減できます。支援事業者を選ぶ際には、過去の実績や得意分野、サポート体制などを比較検討し、自社のニーズに合った支援事業者を選ぶことが重要です。「自社のニーズ」の特定方法については、以前の記事をご参照下さい。こちら⇒【2025年IT導入補助金】を効果的に活用する5つのステップ! – 補助金レーダーサイト
複数の支援事業者から見積もりを取り、内容を比較検討することも有効です。

出典:IT導入支援事業者の役割(中朝企業庁IT導入補助金2025Webサイト)IT導入支援事業者とは | IT導入補助金2025
スケジュール管理
申請期間や交付決定後の手続きなど、スケジュールをしっかり管理することが大切です。余裕を持って計画を立て、申請漏れや遅延がないように注意しましょう。IT導入補助金には、申請期間が定められており、期間外の申請は受け付けられません。また、交付決定後にも、ITツールの導入や実績報告など、期日が設けられている手続きがあります。これらのスケジュールを事前に確認し、計画的に準備を進めることが重要です。申請期間の締め切り直前になって慌てて準備を始めると、書類に不備が生じたり、申請が間に合わなくなる可能性もあります。余裕を持ったスケジュールを立て、確実に申請手続きを進めるようにしましょう。スケジュール管理には、カレンダーツールやタスク管理ツールなどを活用することも有効です。

まとめ:IT導入補助金を活用し、事業成長を加速
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の皆様にとって、業務効率化や生産性向上を実現するための強力な支援策です。本記事で紹介した事例を参考に、自社に合ったITツールを導入し、事業成長を加速させてください。IT導入補助金を活用することで、企業のデジタル化を促進し、競争力強化を図ることができます。補助金を活用してITツールを導入することは、人手不足や業務効率の課題を解決するだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出する可能性も秘めています。本記事で紹介した事例は、あくまで一例であり、様々な業種や規模の企業がITツールを導入することで、自社の課題解決や事業成長を実現しています。まずは、自社の課題を明確にし、最適なITツールを選定することが重要です。
ツール選定に迷ったら、当事務所にご遠慮なくご相談下さい。
ご質問、無料相談のお問合せはこちらかどうぞ⇒
