中小企業や個人事業主にとって、設備投資や新たな取り組みは事業の成長に不可欠です。しかし、資金調達は常に課題となります。そこで注目されるのが、ものづくり補助金です。この補助金は、生産性向上や革新的な製品開発、サービスの高度化を支援することを目的としています。

2025年のものづくり補助金は、次回がだ22次募集となります。しかし、建設業の採択事例が伸び悩んでいます。何故でしょうか? 本ガイドでは、それらの理由と採択される為の事業計画の根幹について、経済産業大臣認定経営革新等支援機関が徹底解説します。

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目次
  1. はじめに
    1. 建設業・解体業で採択が伸び悩む5つの理由
      1. ① 「開発」でなく「更新」になっている
      2. ② 技術的な裏付け資料が不足している
      3. ③ 「ICT重機=採択」ではない
      4. ④ 数値計画(基本要件①~③)の甘さ
      5. ⑤ 補助金目的の「丸投げ申請」
  2. 採択される為の3つの事業計画例(ICT重機を活かす方向性)
    1. 事例①|3D測量×ICT建機による「高精度解体管理サービス」
    2. 事例②|遠隔操作ICT建機による「危険区域施工支援」
    3. 事例③|AI施工データ解析による「稼働最適化クラウド」
    4. 「補助金営業」に惑わされないための基礎知識
    5. 信頼できる相談先
    6. 採択に近づく計画書づくりの5つのポイント
  3. ものづくり補助金2025:22次公募スケジュール
  4. 補助金の種類と目的:サービス高付加価値化枠
    1. ものづくり補助金2025:申請資格と補助率_自社は対象?
    2. 対象となる中小企業・小規模事業者の定義
    3. 補助率と補助上限額の詳細
    4. 補助対象要件
    5. 補助して貰える経費項目
  5. ものづくり補助金2025:申請準備_必要書類と審査のポイント
    1. 申請に必要な書類一覧
    2. 事業計画書作成のコツと注意点
    3. 審査で重視されるポイント
    4. 加点項目を意識した申請戦略
  6. ものづくり補助金2025:活用事例_成功企業に学ぶ
    1. 事例1:【飲食店サービス業】仕出しと高級弁当のデリバリー市場への進出
    2. 事例2:【産廃中間処理業】自動選別プラントの導入
    3. 事例3: 【総合工事業】ドローンを活用した造園技術の開発
    4. 事例4: 【メンタルケア】声分析カウンセリングシステムの構築
  7. まとめ

はじめに

「補助金が出るから、今が買い時ですよ」そんな営業トークを、重機メーカーやディーラーの担当者から聞いたことはありませんか?しかし、その言葉を鵜呑みにしてはいけません。ものづくり補助金は“設備購入の助成”ではなく、“新しい価値を生み出すための投資支援”です。

補助金は「機械を買うための資金」ではなく、自社の未来を形にする開発資金と捉えるのが正解です。

出典:ものづくり補助金チラシr6_mono.pdf

建設業・解体業で採択が伸び悩む5つの理由

① 「開発」でなく「更新」になっている

ものづくり補助金の対象は、「新製品・新サービス・生産プロセスの革新」(公募要領3頁)です。しかし建設業の申請は、“単なる設備更新”になりがちです。たとえば「ICTショベルを導入して効率化」では、単なる生産性向上であり、新サービス開発とは認められません。

審査では「その重機を使って何を新しく生み出すのか」が問われます。

② 技術的な裏付け資料が不足している

解体業の現場改善は感覚的に語られやすく、「どこが新しいのか」「どう性能が上がるのか」を示す証拠が乏しい傾向があります。審査委員は、技術的妥当性を判断できる資料を重視します。

図面、試験結果、従来との比較、コスト削減効果などの客観的データが欠かせません。

③ 「ICT重機=採択」ではない

ICT建機は既に普及段階です。同業他社でも普及している技術は「革新性がない」と判断されやすく、導入そのものではなく、“自社独自の使い方”や“新サービス化”が必要です。

④ 数値計画(基本要件①~③)の甘さ

採択後には、以下3項目の達成が義務づけられています(公募要領14頁)。

要件内容
①付加価値額増加年平均3%以上増加
②賃金増加年平均2%以上増加(又は地域上昇率以上)
③最低賃金地域最低賃金+30円を維持

これらの根拠を明確に示す必要があります。単なる希望的観測ではなく、具体的な売上・利益計画が求められます。

⑤ 補助金目的の「丸投げ申請」

「重機商社が全部やってくれる」「代行業者に任せれば安心」――そう思っていませんか?審査委員は、「経営者が主体的に考えた計画か」を重視します。他人任せの計画書は、文体や内容の整合性からすぐに見抜かれます。
補助金の主語は“あなたの会社”です。補助金業者ではなく、あなた自身が語る計画でなければ採択されません。

採択される為の3つの事業計画例(ICT重機を活かす方向性)

事例①|3D測量×ICT建機による「高精度解体管理サービス」

  • ドローンで3D測量した構造物データをICTショベルに反映。
  • 解体体積や進捗をリアルタイム可視化し、作業ミスや再施工を防止。
  • 顧客に「施工見える化報告書」を提供する新サービスを構築。

👉 “安全・精度・透明性を売る”解体モデルとして差別化が可能です。

事例②|遠隔操作ICT建機による「危険区域施工支援」

  • 通信回線を利用して、オペレーターが安全圏から重機を操作。
  • カメラ映像+AI制御で視認性を高め、災害復旧や老朽施設解体を安全に施工。
  • 「危険区域施工代行サービス」として新市場を開拓。

👉 社会課題(労働災害防止)に貢献するテーマは審査でも高評価。

事例③|AI施工データ解析による「稼働最適化クラウド」

  • ICT重機の稼働ログをクラウドで収集・AI分析。
  • 稼働率・燃費・待機時間を最適化し、現場別の最適配車を自動提案。
  • データに基づく「施工効率化コンサルティング」を新サービスとして展開。

👉 「施工業からデータ活用サービス業へ」という成長ストーリーを描けます。

「補助金営業」に惑わされないための基礎知識

        営業トーク        正しい理解
「補助金で重機が買える」機械導入だけでは不可。新サービス開発の一環である必要。
「コンサルが全部やってくれる」審査で重視されるのは“経営者の主体性”。丸投げは減点。
「採択されなければ損はない」虚偽や形式不備は次回以降の申請停止リスクも。
「次も同じ条件で出ます」公募要領は毎回改訂。最新版を必ず確認
「営業が申請代行してくれる」補助金代行は行政書士等の専門資格が必要。違法なケースもある。

営業トークの裏を取るには、公募要領(中小企業庁公式)を直接読むのが最も確実です。

この記事では、従業員20名ほどの解体業社長を想定し、2025年(第22次公募)ものづくり補助金「製品・サービス高付加価値化枠」で採択を狙うための正しい考え方と、重機メーカーの“いい加減な補助金情報”に振り回されないための実践知識を解説します。

信頼できる相談先

  • 認定経営革新等支援機関(行政書士・税理士・金融機関)
     → 制度趣旨を理解し、採択後の実行支援まで見据えた相談が可能。
  • よろず支援拠点/中小機構 専門家派遣
     → 無料で経営・補助金計画の方向性を確認できる。
  • 商工会議所・業界団体
     → 過去の採択傾向や審査ポイントを知ることができる。

補助金は「誰と取り組むか」で結果が大きく変わります。経験豊富な支援機関をパートナーに選びましょう。

採択に近づく計画書づくりの5つのポイント

  1. 自社の強み・技術を明確に書く
  2. 設備導入が“新しいサービス提供”につながる理由を説明する
  3. 付加価値額・賃金増加の根拠を具体的に示す
  4. 地域や業界への波及効果を意識する
  5. 補助金なしでも成長できる筋道を描く

では、これらの前提を踏まえてこれから始まる第22次公募の内容を点検して行きましょう。

典:公募要領_22次締切_20251031.pdf

ものづくり補助金2025:22次公募スケジュール

ものづくり補助金の第22公募スケジュールは、2025年12月16日(金)17:00申請受付開始で、締切りは2026年1月30日(金)17:00です。最近の各補助金の募集スケジュールの傾向として、以下のようなプロセスに統一されつつあります。

 22次締切
公募開始日令和7年10月24日(金)
申請開始日令和7年12月26日(金) 17時
申請締切日令和8年1月30日(金) 17時
電子申請受付開始前の準備(12月26日(金)迄の約6週間)


具体的な、準備のマイルストーンとしては:

  1. 外部環境やマーケット状況のデータを調べる
  2. 自社の応募資格が何処に該当するかを確認する
  3. 自社の課題と達成したい成果目標を設定する
  4. 実現妥当性の根拠となるデータを収集する
  5. その為には、どの様な機械・設備・システムを調達する必要があるか検討する
  6. 公募要領のどの枠を利用しどの程度の金額を申請するか決定する
  7. その投資で、自社の課題をどの様に解決できるかプロセスを検討
  8. その事業成果をいつ達成できるか計算する
  9. 事業計画書を使って、上記構想の詳細を決定して行く
  10. 目標達成手段やリソース配分を検討し、実現性が低い場合には上記c項に戻って再検討する
  11. 事業計画書を完成させ、自社負担額と消費税額の融資を必要に応じて金融機関に相談する
  12. 申請時の各種添付資料を収集する
  13. GビズIDプレミアムが使えるか点検して置く
  14. 電子申請マニュアルを確認する
電子申請の受付開始後(2025年12月26日~の4週間)

12月26日(金)以降は、電子申請システムを操作する段階です。

第22次公募では、この年末年始が検討時間として使えます。この期間は、前出の採択に近づく計画書づくりの5つのポイントを検討する前項の機会です。設備導入が“新しいサービス提供”につながる理由付加価値額・賃金増加の根拠を再度掘り下げて検討して下さい。

これがすみましたら、以下の申請工程に移ります。
a. GビズIDで認証を取ってから申請システムにログオンし、申請書の原稿を参照しシステムに転記して行く
b. 添付ファイルをアップロードする
c. 申請システムの取り扱いに不具合があればサポートセンターに連絡して支援してもらう
d. 申請ボタンを押す
e. 不備や補正依頼が事務局から来た場合期限までに対応する

G ヒ ス ID プ ラ イ ム ア カ ウ ン ト を 取 得 済 み の 方 は 以 下 の ボ タ ン か ら 電 子 申 請 シ ス テ ム ヘ ア ク セ ス し て く た さ い 。 電 子 請 シ ス テ ム の 操 作 マ 二 ュ ア ル は 、 右 の リ ン ク か ら 閲 霓 す る こ と が で き ま す 。 > 電 子 申 請 シ ス テ ム へ
出典:中小企業庁電子申請|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
 
補助金のオンラン化は、プロセス全体としては飛躍的な効率化をもたらしますが、申請手続き上のシステムには軽微な初期不良は必ずあります。また、取り扱い説明書や電話サポート等も、ある程度時間がかかるので心づもりしておく様にしましょう。

補助金の種類と目的:サービス高付加価値化枠

2025年のものづくり補助金は、補助対象事業の適用枠が2つに整理され分かり易くなりました。 大きな枠の1つ目は、「サービス高付加価値化枠」で2つ目は「グローバル枠」です。今回は、このうち前者に焦点を当てて検討して行きます。

出典:ものづくり補助金チラシ

サービス高付加価値化枠は、 中小企業・小規模事業者が行う「革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を 支援を支援」するものです。

ものづくり補助金2025:申請資格と補助率_自社は対象?

最初は、受給資格の確認です。ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者を対象とした制度ですが、具体的な申請資格や補助率は、事業者の規模や業種、取り組む事業の内容によって異なります。まず、自社が中小企業・小規模事業者の定義に当てはまるかどうかを確認することが重要です。また、補助率や補助上限額も、申請する枠の種類や事業規模によって変動します。

対象となる中小企業・小規模事業者の定義

中小企業・小規模事業者の定義は、業種によって異なります。
中小企業者は、下記の表に掲載された①会社又は個人か、②組合又は連合会に該当するものです。

例えば、製造業であれば、 資本金3億円以下または従業員300人以下の企業や個人が対象となります。 卸売業であれば、 資本金1億円以下または従業員100人以下の企業や個人が対象です。 サービス業であれば、 資本金5千万円以下または従業員100人以下の企業や企業が対象となります。 小売業であれば、 資本金5千万円以下または従業員50人以下の企業や企業が対象です。 これらの定義は、 中小企業基本法に基づいて定められており、 ものづくり補助金の申請資格を判断する上で重要な基準となります。 自社の業種と資本金・従業員数を照らし合わせ、 対象となるかどうかを確認しましょう。

次に小規模企業者・小規模事業者は、下記の表に掲載された会社又は個人です。

それぞれの枠には、 申請要件や補助上限額が異なるため、 自社の事業計画に合った枠を選択することが重要です。 各枠の目的を理解することで、より効果的な申請戦略を立てることができます。

補助率と補助上限額の詳細

補助率と補助上限額は、申請する枠の種類や事業規模によって異なります。
サービス高付加価値化枠は、 中小企業・小規模事業者が行う「革新的な新製品・新サービス開発の取り組みに必要な設備・システム投資等を 支援を支援」するものです。その、補助上限は従業員数で下記の表に記載の通り分類され、750万円から2,500万円となっています。尚、申請の最低金額は100万円です。補助率は中小企業で2分の1、 小規模事業者と再生事業者はで3分の2となります。

補助対象要件

ものづくり補助金には、補助対象要件という補助を受けるための基準があります。4つの基本要件と、グローバル枠だけに適用される追加4要件がありあます。以下概要を紹介します。

基本要件(②と③未達の場合は補助金の返還を請求されます)
①付加価値額の増加要件:GAGR(Compound Annual Growth Rate: 年平均成長率)を3%以上増加させる②賃金増加要件:給与支給総額平均を年2%以上増加させる
③事業所内最低賃金水準要件:事業実施都道府県の最低賃金より30円以上高い水準にする
④従業員の仕事・子育て両立要件(従業員21名以上の場合のみ)

補助して貰える経費項目

補助対象経費は、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産等関連経費、です。

ものづくり補助金2025:申請準備_必要書類と審査のポイント

ものづくり補助金の申請に主な必要な書類は、事業計画書、誓約書、決算書/確定申告書、従業員数確認資料、見積書など多岐にわたります。これらの書類を漏れなく準備し、正確に記載することが重要です。 事業計画書では、自社の強みや弱み、市場の動向、競合との差別化などを明確に記述する必要があります。
さらに、補助金を活用してどのような事業をどのように展開し、どのような成果を上げたいのかを具体的に示す必要があります。 審査では、事業の実現可能性、革新性、波及効果などが重視されます。これらのポイントを踏まえ、加点項目を意識した申請戦略を立てることが重要です。

申請に必要な書類一覧

  • 全ての申請者が提出すべき主な書類としては:
    申請書、事業計画書、会社概要、 財務諸表(決算書、税務申告書など)、見積書(設備投資の場合)、従業員名簿などがあります。 これらの書類は、 申請する枠の種類や事業内容によって異なる場合があります。
  • 必要に応じて提出する書類はいかのものです:
    再生事業者に係る確認書、大幅な賃上げ特例に係る 計画書、最低賃金引上げ特例に係る状況の確認資料、資金調達に係る確認書、海外事業の準備状況を示 す書類
  • 提出すると加点となる書類はいかのものです:
    経営革新計画、(連携)事業継続力強化計画、被用者保険特定適用事業所該当通知書、事業承継/M&A 加点に係る提出書類

事業計画書作成のコツと注意点

事業計画書は、審査において最も重要な書類の一つです。 事業計画書では、自社の強みや弱みの他に、市場の動向、競合との差別化などを明確に記述する必要があります。 また、補助金を活用してどのような事業をどのように展開し、どのような成果を上げたいのかを具体的に示す必要があります。 経営計画書を作成する際には、 以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 事業計画書に記載する内容は、定性的・定量的情報を用いて根拠を示す。必要に応じて図表や写真等を掲載。
  •  自社の現状や置かれている外部環境と内部環境を分析し、それらを踏まえた中長期的なビジョンや目標に向 けて自社の課題を具体的に示す。
  •  自社の課題に対する具体的な課題解決策を示したうえで、課題解決の手段として本事業に取り組まなければ ならない理由、本補助事業により機械装置・システム構築等の設備投資等を行わなければならない理由(必 要性)を示す。
  •  また、本補助事業の設備投資内容(事業期間内に取得する機械装置等の具体的な型番等)、本事業の取組内 容(新製品・新サービスの開発内容や海外需要開拓内容等)、成果目標(会社全体の売上高に対する本事業 の売上高等)、及び達成手段(事業実施能力、事業実施体制、事業実施スケジュール等)を具体的に示す。
  •  製品・サービス高付加価値化枠に申請する場合、開発する製品・サービスの革新性について具体的に記載。
  • グローバル枠に申請する場合、広告宣伝・販売促進費を対象経費に計上する場合においては、ブランディン グ・プロモーション等のマーケティング戦略を具体的かつ詳細に記載。
  •  本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果 の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載。
  •  本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載。また、事業実施に必要な運転資本の調達計画があれば記入。
  •  本事業の実施により達成する付加価値額目標値、給与支給総額目標値、1人あたり給与支給総額目標値、事業所内最低賃金目標値(特例の適用を申請する場合は特例給与支給総額目標値、特例事業所内最低賃金目標 値)の算出については、算出根拠を具体的に示す。
  • 本事業計画で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において達成状況の確認する。

 これらの点を意識して経営計画書を作成することで、 審査官に事業の魅力を効果的に伝えることができます。

審査で重視されるポイント

ものづくり補助金の審査では、以下の6項目について審査されます。
①補助事業の適格性:公募要領に記載の対象者、対象事業、対象要件等を満たしているか
②経営力:実現したい経営目標と自社の経営資源の強み・ 弱みを分析した事業戦略が策定されたか
③事業性:高い付加価値や賃上げを実現する目標値が設定され目標値の実現性が高い事業計画か
④実現可能性:本事業に必要な技術力・必要な社内外の人材・財務状況等から本事業を遂行できるか
⑤政策面:地域経済や産業全体にどのような影響を与えるか
⑥大幅な賃上げに取り組むための事業計画の妥当性(大幅賃上げ特例適用申請者のみ)

 審査官は、提出された書類だけでなく、面接などを通じて、事業者の能力や意欲を確認します。 審査で重視されるポイントを理解し、計画書に反映させることで、採択される可能性を高めることができます。

加点項目を意識した申請戦略

ものづくり補助金には、加点項目というものが存在します。 加点項目とは、 特定の条件を満たす場合に、審査で有利になる要素のことです。
具体的には以下の項目が加点対象となります。

  •  申請締切日時点で有効な「経営革新計画」の承認を取得している事業者。
  • 「パートナーシップ構築宣言ポータルサイト」において宣言を公表して いる事業者(応募締切日前日時点)。
  • 再生事業者。
  • 申請締切日時点で有効な「DX 認定」を取得している事業者。
  • 「健康経営優良法人 2025」に認定された事業者。(3 月頃認定予定)
  • 「J-Startup」、「J-Startup 地域版」に認定された事業者。
  • 「新規輸出 1 万者支援プログラムポータルサイト」において登録が完了し ている事業者。
  • 申請締切日時点で有効な「(連携)事業継続力強化計画」を取得している 事業者。
  • 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、従業員及び役員の給与支給総額の年平均成長率を 4.0%以上増加、並びに事業所内最低賃金を毎 年3月、地域別最低賃金より+40円以上の水準を満たす目標値を設定し、設定した目標値を交付決定までに全ての従業員又は従業員代表者、 役員に対して表明している事業者。
  • 従業員規模 50名以下の中小企業が被用者保険の任意適用(短時間労働者を被用者保険に加入させること)に取り組む場合。
  • 「えるぼし認定」を取得している事業者。
  • 「くるみん認定」を取得している事業者。
  • 申請締切日を起点にして、過去 3 年以内に事業承継(株式譲渡等)により有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)を引き継いだ事業者。
  • 申請締切日時点において、中小企業庁「成長加速化マッチングサービ ス」で会員登録を行い、挑戦課題を登録している事業者。

 これらの加点項目を意識して申請戦略を立てることで、 採択される可能性を高めることができます。 自社の事業が、どのような加点項目に該当するかを分析し、 計画書に明確に記載することが重要です。 また、加点項目に該当する取り組みを積極的に行うことも申請戦略として有効です。

ものづくり補助金2025:活用事例_成功企業に学ぶ

ものづくり補助金を活用して成功した企業の事例は、数多く存在します。これらの事例から、補助金の効果的な活用方法や、申請のポイントを学ぶことができます。成功事例を参考に、自社の事業計画にどのように補助金を活用できるかを検討してみましょう。

事例1:【飲食店サービス業】仕出しと高級弁当のデリバリー市場への進出

コロナ禍による在宅勤務増加で、弁当と仕出しの宅配需要が急増。 ものづくり補助金を活用して、 大量調理と調理時間の短縮の為機械設備を刷新しました。 新しいシステムでは、調理と同時並行で仕込みもできるようになりました。 その結果、 労働生産性の向上と、 新規市場への参入が可能となりました。 この事例からわかるように、 ものづくり補助金は、 サービス業においても、 業務効率化販路開拓に役立つことがあります。

出典:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

事例2:【産廃中間処理業】自動選別プラントの導入

建設廃棄物の受け入れ処理ニーズは多いものの、様々なゴミが混ざった混合廃棄物があり、従業員がしゃがんで、手で選別せざるを得ませんでした。その為、時間がかかり作業環境も悪いため自動選別プラントの導入を決めました。新規導入プラントでは、磁選機で鉄などの金属くずを取り除いた後、古いにかけて土砂を落とし、吸引選別機で 紙やビニール、木くずなとを吸い取ります。その結果、人手が必要な工程は、最後に残った残渣から異物を取り除くのみとなりました。以前は、1立方メートルあたり5~6人で1時間かかっていた選別作業が、2人で5分と飛躍的に作業効率が改善されました。 この事例からわかるように、 ものづくり補助金は、 産廃処理業においても、 労働環境改善や業務効率化に役立つことがあります。

出典:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

事例3: 【総合工事業】ドローンを活用した造園技術の開発

造園工事では、前処理工程の「現地調査測量」と後処理工程の「選定枝葉回収」に多くの労働力が掛かりすぎるという課題がありました。 ものづくり補助金を活用して、前処理工程にドローンを導入し、後処理工程にはバックホー及び樹木粉砕機を導入しました。  その結果、前処理工程では通常の光計測で3日間かかる測量作業が約4時間に短縮でき、後処理工程ではこれまでの半分の人員で作業が行える様になりました。 この事例からわかるように、ものづくり補助金は、現場工事においても 生産性向上や人手不足対策に役立つことがあります。

出典:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

事例4: 【メンタルケア】声分析カウンセリングシステムの構築

コロナ禍以来、「コロナ鬱」という精神疾患が増えています。その一方で、対面カウンセリングが難しくなりました。そこで、補助事業により従来から保持していた「声診断」の技術のオンライン化をはかりました。現在、大企業の大型案件受注もでき、企業研修やチーム編成で関心が高まっています。この事例からわかるように、 ものづくり補助金は、オンラインカウンセリングにおいても、 技術革新と販路拡大に役立つことがあります。

出典:成果事例検索|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

まとめ

ものづくり補助金は、「新しい価値を生み出す企業」を応援する制度です。解体業にとってのチャンスは、“ICT重機をどう活かして新しい施工サービスをつくるか”にあります。重機メーカーの「補助金が出ます」に惑わされず、自社の強みと将来像から逆算して事業計画を描くこと。それこそが、真に経営を成長させる補助金の使い方です。

成功企業の事例を参考に、自社の事業にどのように補助金を活用できるかを具体的に検討してみてください。ものづくり補助金を活用することで、設備投資、新製品開発、サービスの高度化などを実現し、事業の競争力を高めることができます。 ぜひ、本ガイドを参考に、ものづくり補助金を最大限に活用し、事業の発展を実現してください。そして、日本経済全体の活性化に貢献しましょう。

ものづくり補助金について、何か疑問や質問がありましたらご遠慮なくお問合せ下さい。