「ゼロエミポイントは東京都の制度だから、うちは名古屋(または福岡・札幌)だから関係ない…」そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。東京都の省エネ家電買い替え支援制度「ゼロエミポイント」は、都民が省エネ家電を購入する際に現金が還付される制度ですが、実は都外の家電販売店でも取り扱いが可能なことをご存じでしょうか?現在、都外にある1,500点以上の家電店がこの制度の対象店舗として登録されています。では、なぜ“東京都の税金を原資にした制度”であるにもかかわらず、都外での利用が可能なのでしょうか?
そこには、首都圏に暮らす人々の購買行動や生活圏をふまえた、都の制度設計上の工夫と戦略的狙いがあります。これは、地域の家電店にとっても新たな販促チャンスとなり得る制度です。特に東京都と生活圏が重なる地域(埼玉・千葉・神奈川・山梨など)に店舗を構える経営者の皆様にとっては、都民の来店促進や販路拡大の大きな可能性を秘めています。本記事では、その背景とともに、都外の家電店が果たす役割や活用メリットや及び消費者側の注意点を解説いたします。
はじめに
✅ 東京ゼロエミポイントの財源は都民の「税金」
2025年の東京都の予算総額は16兆5,584億円です。これは、昨今の為替レートの大きな変動による換算誤差にもよりますが、少なくとも世界の国々と比較しても上位40位以内に匹敵する「国家レベル予算規模」となります。
💰 財源の内訳(主に以下の税金が原資)
そして、東京ゼロエミポイント制度の2025年度(令和7年度)予算規模は 220億6,800万円 です。しかも、それは東京都の一般財源(=都民の税金)9兆1,530億円の中から拠出されています。

🌀 東京都では、なぜ都民の税金を使ってまでこの制度が行われているのでしょうか?都議会議員による、選挙前の有権者への税金ばら撒き活動でしょうか?実は、大きな目的はまず以下のような 公共政策的な効果を期待しているからだと考えられます。
🎯 目的
東京都のCO2排出量削減(=脱炭素)
省エネ機器の普及促進
ヒートアイランド現象の緩和
地元経済(家電流通)の活性化
災害時にも安心できる住宅環境の整備(高効率エアコンや冷蔵庫など)
つまり、東京都は財政的には世界の中堅国家に匹敵する財政力を持つ自治体です。そして、その影響力を少なくとも日本の国土の中で幅広く広めようとする動きがこの制度です。

ゼロエミポイント制度の概要
■ 制度設計上の考え方(東京都の立場)
制度の趣旨としては、「都内の住宅で使用される家電が省エネ機器に置き換わること」が最大の目的です。つまり、「購入場所」ではなく、「設置場所が東京都内」であることが要件となって居ます。
このため、制度上は 購入地がどこであっても、都内に設置されるならポイント対象としているのです。
👉 東京都が「脱炭素・省エネ推進政策」の成果を出すために重要なのは、都内でのCO2削減実績であり、家電の購入地は本質的に問わないというスタンスです。
ゼロエミポイント助成金値引き適用手順
実施手順としては、家電等登録 マニュアルのなかに下図の様な簡略化した製品の流れの説明があります。これを見ると、
- 最初にメーカーが、対象家電の型式登録を行い事務局が公開します。(左から下に伸びる赤い線)
- 次に、販売店側にて中央部①②のステップで購入の契約が成立すると同時にゼロエミポイント共同申請の同意書がサインされます。(この時、未だゼロエミポイントは確定して居ませんが家電販売店リスクで対象金額を建て替え値引きして清算します。)
- その上で、エアコンの交換工事(または、取り外しと取り付け工事を2回に分割)を行います。家電販売店は、予め家電リサイクル券(廃棄物の流通過程を証明するカーボンライティングのマニフェスト伝票)を発行します。このリサイクル券の1枚目は、旧機器が廃棄物として引き取られた証明書として990円の支払いと引き換えに消費者の手元に残ります。2枚目以降は、廃棄物と共に処理センターに送られます。(この図では、撤去機器がメーカーに届けられる形になって居ます。実態は、機器は廃棄物処理センターで処分され、リサイクル券の特定のページがメーカーに届くものと推定します。)
- 最終的に、赤い線(省エネ性能が認定されて登録された機器の新規販売系統)と青い線(家電リサイクル法対象機器の撤去)の2つのストリームのエビデンスが揃って初めて、事務局より家電販売店に申請された販売品に対するゼロエミポイントの現金が口座振り込みされます。

出典:東京ゼロエミポイント対象家電等登録 マニュアル 2025年4月版zeroemi-katabantouroku.pdf
この事を、家電販売店の立場で現金の流れに焦点を当て更に単純化した図が下記のものです。尚、③で共同申請となって居ますが、殆ど全ての手順は家電販売店で進め処理するので消費者はサインをするだけです。

出典:家庭のゼロエミッション行動推進事業事業登録要領 zeroemi-jigyoshatouroku-youryou.pdf
事例比較:都内の某量販店で買ってみた
ところで、ゼロエミポイント制度を利用しエアコンや冷蔵庫を都内で購入した時と、都外で購入したときの手続きの違いは何でしょうか?ここでは、10年位以上使用したエアコンを買い替えた事例を紹介します。
まず、東京ゼロエミポイント制度では、既設エアコンの入れ替えが対象となるため、基本的に以下のような提出が求められます。
🔧【提出が求められる書類や写真】
1)既設室内機の製造年が分かる銘板の写真(→ 古いエアコンである証明)
2)家電リサイクル券の控えの写し(→ 古いエアコンを適正に処分した証明)
都内でエアコンを購入した場合の申請手順
これを都内の、Y量販店で購入すると二つの囲い込みに直面します。
一つ目は、基本工事代金と云う名の販売店の手数料を必ず支払う事(但しそれでも他店よりは安い)。
二つ目は、店舗が指定した工事業者を必ず起用して取り外しと取り付け工事を任せる事です。しかも、その指定された工事業者は事前見積と称して、必ず既設エアコンの事前実地調査を行い彼らの取り分である工事代金を別途見積ります。
これが、囲い込みである理由は一般のエアコン工事料金に比べて指定工事業者は割高だからです。この指定業者を拒否し、自分で探した工事業者に依頼する事も契約法上は十分可能です。しかしその為には、エアコン工事の手間が(取り外しと取り付け工事の)2回に倍増します。

さらに、少なくともこのY量販店の対応ルールに関する限りでは、基本的には彼らの指定工事業者を使わなならばゼロエミポイントも受け付け(たく)ないと云うスタンスでした。ただし、店舗で新機種の購入契約をする際に、旧機種の二つの写真及び取り外し工事が終わり廃棄した事を証明する「リサイクル券」の一枚目を提示すれば例外としてゼロエミポイント割引を受け付ける例外を設けているとの事でした。

因みに、これは家電販売店として興味深い絶妙な戦略です。もし「指定工事業者以外でのゼロエミポイント申請はお断りです」と言い切ってしまうと、独禁法に触れる可能性が高まり面倒な事になります。
しかし、ここで無理をして自分が探した工事玉者を起用しようとすると、買い物前に予めエアコンを止めて撤去工事を行い、日を改めて新機器の取り付け工事を行うという2度手間を強いられます。当然、1回で終わる工事を2回に増やすので、その分工事費用も嵩みます。やむを得ず、指定工事業社を受け入れます。
しかし次に、指定工事業者の現地視察を受けない限り、購入するエアコンの型番を確定できません。

改めて、全体の流れをまとめると具体的手順としては以下の様になります。
①量販店に1回目の訪問をして、気に入った製品と価格を特定し工事の視察依頼をする
②現地視察(工事見積)依頼と実施➡建屋に付け可能である事の互換性確認と工事代別料金の提示
③予め上記の提出エビデンス1)2)の写メを取る
④量販店に2回目の訪問をして、エビデンス画像を提示し、店員の担当者にそのばで各種ゼロエミポイント申請手続きをお願いする。
⑤レジで清算し、その場で所定のゼロエミ現金割引を受ける。
⑥工事当日、更に廃棄するエアコンのリサイクル料金990円を支払い「リサイクル券」と云うレシートを貰う。

以上の6ステップで終わです。また、家電販売店に拠って若干異なる可能性がありますが、重要な点は「リサイクル券」という廃棄証明及び既設製品情報の2ショットの写真と新規購入機器の型番がわかるレシートを、耳を揃えて同時にゼロエミ事務局に送信されて初めて、家電販売店が建て替えていたゼロエミポイント値引き金額が事務局より入金する事です。
東京都以外で購入した場合の申請手順
🛒 では、東京以外でこの6つのステップをすすめる事は現実に可能なのでしょうか?例えば、福岡や札幌など遠隔地の家電販売店で購入契約を、商品を「東京都内へ宅配のみ」で対応する場合には一見問題が生じる様に見えます。特に、工事は何処の誰の責任で実施するかという点です。

🌀旅先では、 購入契約時点でまだ東京の既設エアコンは回収・撤去されていないため、「家電リサイクル券控え」を提示できないという問題があります。無論、上記の都内量販店方式で独自に指定した工事業者が工事に向かう体制になって居れば問題ありません。エアコンの新規在庫は、必ず一度はメーカーの倉庫から出庫し工事業者に届けられます。また、エアコンの廃棄物は、最初は東京都内の事業者名義の近郊廃棄物処理センターに集められます。
従って、東京に住んでいる消費者が福岡や札幌の家電販売店を訪ねた折に、ゼロエミポイント対象のエアコンを購入する場合、上記の②現地視察、③来店時の写メの提示、④店舗によるゼロエミポイント申請手続き、が出来ないまま⑤に飛んでで支払いをするかどうかの問題です。
インタビューしてみた
この点、の課題を解明するポイントは本当に指定工事業者の事前視察は必須なのか?という点です。そこで、複数の工事会社の技術者にインタビューし以下の回答を得ました。

工事業者による事前視察の意義:
- ユーザー側では、これまで設置して居たエアコンがあるので全く問題無いと思いがちです。しかし、実際には先ず既設冷媒配管が隠蔽配管(壁の中を通って室外機と室内機が接続されている)か壁を打ち抜いて室外に出ているタイプかという点で工事や部材の手配が変わります。
- また、電源がどこから取れるかや既設電源線の長さが新機種の接続端子に届くかなど、電気工事の規則に照らし確認すべき事項があります。
- 更に、2023年の秋から施工された大気汚染防止法により、もし冷媒配管やドレンパイプを通す穴を住宅やマンションの壁に新規に貫通させるとなると、建屋の壁面にアスベスト含有部材が有るか否かの事前調査も必要となります。
この様な事情で、現地見分を行わない限り取り付けそのものが保証できないばかりでなく、違法な工事を未然に予防する為にも事前調査は必須となります。そして、この工事の段取り上の都合は、家電販売店が都内にあるか都外にあるに関わらず同一の手順の確認が必要となります。
常識的な経済合理性との矛盾
インタビューの結論としては、どの工事会社にお願いしたとしても工事の事前視察は必須です。もし、このステップを省略しようとしても工事の予約もできない上に見積もり貰えない根本理由が解りました。この点を考慮すると、輸送コストや設置手配の手間、アフターサービスの難しさなども加わり、通常は関東圏の店舗やネット通販で購入するのが自然です。つまり、制度設計上は「全国どこでもOK」にしてあるものの、実際には常識的な経済合理性との矛盾する事が想定されます。その結果、通常であれば東京の一般家庭の消費者、がわざわざ福岡や札幌の家電販売店から購入するケースはほぼないと考えられます。

■ なぜこのような構造になったのか?
遠隔地で、都民がエアコンを買い替えると一見ペイしない様に見える事が解りました。しかし、それにも拘わらず、何故この様な構造にする必要があったのでしょうか?それには、様々な観点からの政策的意図が関与しているからです。以下、具体的に検討して行きます。
「東京の制度」が自店の商機になる?
以上の様に、遠隔地の家電販売店で取り扱うには幾つかの懸念が生じる事が解りました。しかし、制度の公平性の観点からは何とかしたいところです。もし、あなたが遠隔地の福岡や札幌の家電販売店でゼロエミポイント登録販売店の立場に立った場合どうすれば良いでしょうか?
ここでは、先ず物流経路に注目するとヒントが見えてきます。エアコンの場合、新規製品在庫は郊外のホームセンター等の例外を除き通常は家電販売店の店舗にはありません。メーカーの倉庫か、物流センターの倉庫です。そして、それは必ずしも都内にあるわけではありません。もし、生産工場が東南アジアだとすると国際空港の近くの倉庫かも知れません。

という事は、製品は必ずしも東京から回送されて来るとは限らず、しかも送料は孤島地域以外は1~2千円です。次は、工事技術者が何処から出て都内の現場に行くかです。この点も、遠隔地から飛行機に乗って迄技術者が移動するのはコスト的に不合理です。となると、福岡や札幌の家電販売店は系列メーカー等の業界のつてを使い、東京近郊の工事業者と提携するのが妥当です。そして、都外1,510の登録家電販売事業者にはその手だてが見つかったので登録できたのだと理解します。
となると、上記の②現地視察以外の、③来店時の写メの提示、④店舗によるゼロエミポイント申請手続きまでのプロセスは、電話とeメールと、Webバンキングを使えばそのままの手順で十分実行できます。
シミュレーション手順
ここで、買い物シミュレーションを行います。ある都民の消費者が、ゴールデンウイークに故郷に帰ったとします。そこで、丁度良いゼロエミポイント対象エアコンに出会ったとします。そこでまず、事前見積や工事日程やゼロエミポイント申請手続きについてその場で十分な説明が得られ値段も納得できました。次は、後日帰郷後に①の実施の為工事業者さんに来てもらう日程調整をします。そして、②の写メはeメールで店舗に送信することにしました。最後に、支払いの方は、別途③の申請手続きのタイミングに合わせ(取り付けと撤去の工事日程と派遣される技術者の会社名と氏名が確定した時点で)④の銀行振込を行う事に合意しました。

この様な手順を踏む事で、工事が都内で行われる限り売買契約が遠隔地で行われても全く問題無いどころか次にお示しする複数のメリットが伴います。だからこそ、「東京の制度」もふるさとの家電販売店の商機になるのです。
留意点はリスクを減らす事
但し、ここで重要なのはお互いの信頼関係です。この点、地元で古くから付き合いがある家電販売店ならば多少の誤解が生じても話す相手が見えているので安心です。問題は、見ず知らずのスマホ上のECサイトの「ゼロエミポイント工事パック」のような提案に乗る時です。その際は、上記の②現地視察、③来店時の写メの提示、④店舗によるゼロエミポイント申請手続きを、何処に住む誰の責任で、いつどのような媒体を使って実施するのか丹念に確認できないと心配です。
また、代金が前払いで「あとは電話で打合せ」とだけスマホ画面にかかれているECのエアコン販売の場合は相当のリスクを覚悟する必要があります。ポイントは、誰が工事業者を手配していつ事前調査を実施し、既設エアコンの回収とリサイクル券入手、ゼロエミ申請提出をいつ実施するかを、コミュニケーションミスなく正しく理解できるまで「人」が説明してくれるかどうかです。

特に、ECサイトや電話番号は、突然消滅したり繋がらなくなったりする事があります。ECサイトで検討する際は、まず運営会社のプロフィールを確認し、その企業名や代表者名が過去に消費者庁の行政指導を受けて居ないかWEBで確認しましょう。

その確認の手だてさえも公開されていない場合は、やはりリアルな「人」がいる店舗での購入の方がお薦めです。
地方の家電販売店がもたらすメリット
都民も来店するエリアに店舗を構える意味
地方の家電販売店が、ゼロエミポイント製品を取り扱うメリットの一つ目は家電売り場の混雑の分散です。実は、実際にこの制度を利用して見た所、大手量販店の中でも店舗によって対応スキルの大きな違いがある事が分かりました。結局、最もスキルの高い店舗で契約しましたが、最低2回は足を運ぶ必要がありました。その都度、相当の待ち時間がある上に、ゼロエミポイント申請手続きと支払いには2時間程度を要しました。おそらく、冷蔵庫や給湯器の売り場でも同じ手間がかかると考えられます。この店舗側のご苦労を考えると、やはり受付窓口は都内に500カ所だけでは足りず他の道府県に1,500カ所設けるのも極めて合理的です。

特に、ふるさとに帰りのんびり過ごす間に、混み合っていない家電販売店でお気に入りのエアコンを見つけ、あるいは取り寄せの予約をして待ち時間ゼロで買い物を済ませられるなら一石二鳥では無いでしょうか。
都民の来店促進・新規顧客獲得
つぎに、メリットの二つ目は以前にも紹介したアンカー効果です。都内数カ所に、大きな拠点を置く家電量販点は全国主要都市に展開しています。しかし、都外には1,510店舗もありません。実は、都外のゼロエミポイント登録店は殆どが個人の家電販売店や地域のチェーン店なのです。これらの、お店の参画が「補助金に便乗した値上げの抑止」効果を発揮してくれています。それは、地方の家電販売店はいわばゼロエミポイント制度の陰の「オンブズマン」なのです。

地域密着型店舗だからこそ生きるサポート力
特に過疎化が進む昨今では、地域によっては家電販売店も出来る事ならば消費者が支えて行きたい所です。また、数少ない家電店は地域密着型の手厚いサポートを提供するのが持ち味です。田舎に帰省した時は、地元の電気屋さんにビジネス機会を還元するい機会になるかも知れません。そうすれば、対応相手となる「気の置けない電気屋さん」にとっても、省エネ家電の提案をして店の付加価値を押し上げるチャンスとなります。

なぜ都外の店舗でも対象になるのか
以前の記事で、「ゼロエミポイント制度では地方の家電販売業者も救済の対象に加えた」とご紹介しました。しかし、以上の様に深堀りしてみると救済されているのはむしろ東京都や都民の方でした。また改めて、行政の設定した仕組み自体は実に優れた制度設計だと云う事もわかりました。というのは、東京ゼロエミポイント制度の2025年度(令和7年度)予算規模は 220億6,800万円 です。この 220億円もの補助金は、「独占禁止法」の観点からは極力限定を掛けず、広く国民全体の自由競争の中で消化されるのが望ましいからです。更に、日本全国に省エネ機器の普及促進やヒートアイランド現象の緩和、あるいは地元経済(家電流通)の活性化の為には、極力多くの国民を巻き込んで行く必要があります。その為には、国家レベルの財政力を擁する東京都が広告塔となって全国に向けてアピールし、協力を仰ぐ一環として地方の家電販売店に商機を与える戦略は極めて理にかなっています。

まとめ
“東京都の制度”を地域の売上チャンスに変える
以上、登録業者 約2,000件中地方業者(東京以外)が約1,500件ある事実は都民税の「ばらまき」ではないのか?という疑問から出発してこの制度を複数の観点から検討してきました。

そこで、制度の目的(脱炭素・省エネ)を紐解くと、「どこで買ったか」より「どこで使うか」を重視する設計でした。懸念材料としては、「都民の税金が東京都以外の事業者に流出しているように見える」点がありましたが、これはふるさと納税で多く都民が地方に税額を再配分ている構造と似ておりどちらも違法とは言えません。ただし、制度運用上の「緩さ」と「理想のズレ」が存在する可能性はあり、税金の地産地消の観点からの検証は今後必須であることも事実です。実際、地方の登録業者の中には、「実際に都内に配送・設置していない」業者すら一部存在する可能性も否定できず、これは今後の監査・審査の精緻化が必要な論点です。

今こそ知っておきたい、ゼロエミポイントの可能性
「家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント)」に計上された、約220億6,800万円がすべて適切に使い果たされた際の経済効果は決して小さくありません。また、ポイント利用のために遠隔地間のエビデンスの受け渡しや打合せなどで全国的にITリテラシーが向上する事が期待されます。また、このなかで新たなビジネスが派生する余地も十分あります。

ゼロエミポイント申請手続きは、来店者への制度説明もふくめ実際の所相当の手間が掛かります。これは、助成金の性質上やむを得ない事ですが、全国登録業者 約2,000店の売り場の皆様は目に見えない大きな活躍を期待されているのも事実です。是非、これらの方々のご尽力の元に、東京都のCO2排出量削減(=脱炭素)に向け、約220億6,800万円がクリーンに消費され経済活性化に十分活かされることを願います。
ご質問や無料相談は、下記のフォームで受け付けています。
皆さん、ゴールデンウイークは、是非ふるさとの家電売り場を覗きに行きませんか?!
