新しい投資や設備導入、販路開拓に悩んでいませんか?2025年5月8日(木)から申請受付が始まる「中小企業成長加速化補助金」は、あなたの成長戦略を後押しする強力なサポートです。本記事では、成長加速化補助金の対象業種と組織形態・使い道・申請のコツを経営革新等支援機関がわかりやすく解説します。また、この補助金を活用して実現できる3つの成長戦略も事例付きで紹介します。今後の事業計画に、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金との組み合わせ運用方法もぜひ取り入れてください!

中小企業成長加速化補助金とは?

この「中小企業成長加速化補助金」は、中小企業の成長投資(売上拡大や生産性向上)を後押しするために創設された新しい補助金です。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が主体となり、最大で5億円まで補助される、過去に例を見ない規模の支援策となっています。
主な特徴は次のとおりです。

  • 補助率は最大1/2
  • 補助上限額は5億円
  • 成長可能性の高い事業計画の策定が必須
  • 利用目的
    ➡新たな事業を行いたい / 設備整備・IT導入したい / 雇用・職場環境を改善したい

これまでの「ものづくり補助金」や「事業再構築補助金」と比較しても、「成長志向の中小企業」をターゲットにしている点が大きな特徴です。

出典:中小機構チラシ seicho_kasokuka.pdf

成長加速化補助金の補助要件

① 補助対象経費のうち投資額が1億円以上(税抜き)であること)。
② 補助金の公募の申請時までに補助事業者の100億宣言が100億宣言ポータルサ イトに公表がされていること。なお1次公募においては、補助金の公募の申請と併せて 100 億宣言の申請を行うこと。
③ 一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画を策定すること。 (賃上げ実施期間は補助事業終了後3年間(賃上げ要件の詳細は下記参照))
④ 日本国内において補助事業を実施すること。

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

100億円宣言はなぜ必要?_100億円企業育成戦略

「100億宣言」は、長年のデフレ的経済から脱却し、「投資と賃上げによる成長」に向かうため中小企業の“姿勢”や“成長ビジョン”を象徴するスローガンです。必ずしも、実際に売り上げ100億円になる必要はありません。

出典:100億企業成長ポータル

これらの取り組みの結果として、「賃上げへの貢献、輸出による外需獲得、域内の仕入による地域経済への波及効果が大きい売上高100億円超を目指す中小企業」の出現する事が期待されています。この様に、「成長加速化補助金」は中小企業の経営力向上と組織力強化の一環として提供される補助金である為、この全体のメカニズムを理解し「売上100億円企業」を目指すという意思表示が必要なのです。

  出典:100億円ポータルリーフレットPowerPoint プレゼンテーション

どんな企業が対象になるのか?

業種は?

対象となる業種は、下記の各業種が対象になります。

鉱業,採石業,砂利採取業 / 建設業 / 製造業 / 電気・ガス・熱供給・水道業 / 情報通信業 / 運輸業,郵便業 / 卸売業,小売業 / 金融業,保険業 / 不動産業,物品賃貸業 / 学術研究,専門・技術サービス業 / 宿泊業,飲食サービス業 / 生活関連サービス業,娯楽業 / 教育,学習支援業 / 医療,福祉 / 複合サービス事業 / サービス業(他に分類されないもの)

組織形態は?

補助対象となるのは、①会社又は個人、②組合または連合会で、以下の要件を満たす中小企業や小規模事業者です。

出典:中小企業成長加速化補助金 (1 次公募) 公募要領  kobo_20250418.pdf

組織の要件は?

日本国内に法人登記された売り上げ10億円以上の中小企業です。

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

「現状維持」ではなく、積極的に成長を目指す意欲のある企業であることが求められます。単なる設備更新や維持管理では採択されにくいため、「攻めの投資」がカギになります。

補助対象となる経費は?

補助対象経費は、建物費、機械装置費、ソフトウエア費、外注費、専門家経費です。

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

成長加速化補助金の3つの成長戦略

中小企業成長加速化補助金は、単なる設備導入にとどまらず、事業の成長を本気で目指すための幅広い投資を支援しています。ここでは、補助金を活用して実現できる3つの成長戦略事例をご紹介します。

その1.新商品・新サービス開発で市場を拡大する

新しい商品やサービスの開発は、売上拡大のための基本戦略です。中小企業成長加速化補助金では、研究開発費用や試作品製作費用も対象となるため、自社だけでは難しかった新分野へのチャレンジが現実的になります。

活用例

  • デザイン性の高い自社企画製品の設計・生産
  • スマートホーム標準規格への準拠や連携機能の強化に向けたシステム開発力の強化
  • 海外、特に韓国/台湾エリアの市場開拓自社ブランドの新製品開発と、それに伴うマーケティング費用
ポイント:

東南アジア向け越境EC企業やジョグテックを活用した海外販売パートナーシップの拡大。
単なる改善ではなく、「新規性」や「成長可能性」を意識した計画が重要です。

出典:約億円宣言事例集より PowerPoint プレゼンテーション

その2.生産性向上に向けた設備導入・DX投資を進める

生産性向上も、この補助金が重視するテーマです。最新のビジネスモデル導入や、デジタル技術(DX)による業務効率化投資が補助対象となります。

活用例
  • 既存のD2Cブランド構築支援コンサルティング事業を入口としたSaaS型ビジネスモデルの構築(DtoC/Direct to Consumer)とは、企業が一般消費者に対して直接取引を行うビジネスモデルです。)
  • D2C型ECサイト構築のソリューション化
  • AIエージェントの開発・高機能化
  • 関連ソフトウエアの買収
  • 大手ECサイト構築サービスとの提携、海外販売チャネル構築、ECサイトの多言語対応、海外販売チャネル構築
ポイント:

・D2C構築のコンサルティング事業をSaaSプロダクト化し、人的リソースによらないサービス提供を可能にする
・EC顧客との対話や意見収集を行い商品やサイトの改善点や抽出する対話型のAIを開発し、サービス利用者のカスタマーサクセスを実現し自社としても成長する

投資によって、売上高や従業員あたり生産性がどの程度向上するかを数字で示すことが大切です。

出典:約億円宣言事例集より PowerPoint プレゼンテーション

3.国内外への販路拡大に挑戦する

新規市場の開拓に向けた販路開拓費用も補助対象です。特に、海外展開や新規顧客層へのリーチを目指す取り組みは高く評価されます。

活用例
  • 周辺エリアへの飲食事業の出店拡大
  • デベロッパーと連携した全国への出店拡大
  • 海鮮丼専門店など小規模スペースで展開可能な店舗フォーマットの開拓
  • 東南アジア、特に韓国/台湾/タイへの出展拡大海外展示会への出展費用、プロモーション活動費
  • 新市場向け営業チームの立ち上げと営業支援ツール導入
ポイント:

競合店舗の商圏や昼間人口のデータに基づく科学的な出店
エリア選定の推進
・店舗マネジメントと店長候補育成の型化
・デベロッパーと協業した、全国や東南アジアへの出店拡大
・サステナブルな養殖技術への投資と、流通の拡大

単なる広告宣伝ではなく、販路開拓=具体的な売上成長計画と紐付けることが重要です。

出典:約億円宣言事例集より PowerPoint プレゼンテーション

中小企業成長加速化補助金|申請の具体的な流れ

中小企業成長加速化補助金の申請は、一般的な補助金よりもやや手間がかかりますが、ポイントを押さえればスムーズに進められます。ここでは、申請から交付決定までの大まかな流れをわかりやすく整理しました。

1.事前準備(gBizID取得・電子申請アカウント登録)

まず、申請にはgBizIDプライムアカウントが必須です。gBizIDを持っていない場合は、早めに取得しておきましょう。(取得には2〜3週間かかることも)
つぎに、100億宣言を100億宣言ポータルサ イト上に公表します

✅ 事前に必要なこと
  • gBizIDプライムの取得
  • 100億宣言を100億宣言ポータルサ イト上に公表する
  • Jグランツ(jGrants)での操作方法確認

※ gBizIDの発行はこちら → gBizID公式サイトGビズID | Home

2.提出書類

申請で最も重要なのが、投資計画書・投資計画書別紙の作成です。単なる「やりたいこと」を書くのではなく、審査基準に沿った論理的な計画をまとめます。

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

✅ 投資計画書に盛り込むべき内容
  • 「100億宣言」を踏まえた会社の中長期的な経営ビジョン
  • 成長戦略(売上高の推移・売上高成長率の見通し)
  • 給与支給総額・従業員数

また、添付書類としては、ローカルベンチマーキング、決算書、金融機関による確認書等も必要です。

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

✅ 必要書類例
  • ローカルベンチマイク(様式3)
  • 直近3期分の決算書
  • 金融機関による確認書(様式4)
  • その他(様式5・6等)

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

3.申請書類の電子提出(Jグランツで申請)

すべての準備が整ったら、Jグランツ上で電子申請を行います。

さらに、補助金専用ポータルサイト「Jグランツ」を利用して電子申請を行います。

出典:4月25日中小企業成長加速化補助金説明会資料版PowerPoint プレゼンテーション

✅ 電子申請時のポイント
  • 必要な情報・ファイルをすべてアップロード
  • 添付ファイルの名称や形式(PDF推奨)をルールに沿って設定
  • 最終確認後、期日までに「提出完了」ボタンを押す

※ 提出期限を過ぎると受け付けてもらえないため、必ず余裕をもって申請しましょう。

4.審査(書類審査+必要に応じてヒアリング)

提出後は、書類審査が行われます。必要に応じて、ヒアリング(追加説明)を求められることもあります。

✅ 審査の主なポイント

①経営力

  • 将来の売上高100億円に向けた中長期的なビジョンや計画を有し、その上で、 今後5年程度の経営者の明確なシナリオ、成長余力を最大限伸張した事業戦略 (売上高成長率、付加価値増加率、売上高に占める投資比率(本補助事業) )

②波及効果

  • 賃上げ水準(要件値を上回る場合)
  • 域内仕入の拡大や地域における価値創造(サプライチェーン、ものづくり高度化、イノベーション、 地域資源活用等)
  • 地域のモデル企業としての取組(下請取引先に対する取引姿勢、防災等のレジリエンス、 女性活躍等)

③実現可能性

  • 金融機関のコミットメント

出典:中小機構チラシ seicho_kasokuka.pdf

5.交付決定・補助事業スタート

審査を通過すると、「交付決定通知書」が発行されます。この交付決定日以降に、補助対象経費の支出を開始できます。

✅ 交付決定後の流れ
  • 速やかに事業を開始
  • 定期的な進捗報告(必要に応じて)
  • 補助事業終了後、実績報告書の提出
  • 補助金額の確定 → 請求手続き → 補助金支払

出典:中小機構チラシ seicho_kasokuka.pdf

「ものづくり補助金」と「中小企業成長加速化補助金」

ものづくり補助金との比較

ところで、前出の「100億円企業育成戦略」を見てお気づきかも知れませんが、中小企業が国際競争力ある企業になる為の成長支援は「中小企業成長加速化補助金」だけではありません。税制優遇やリスクマネーの供給なども整備されて行く見込みです。しかし、現在最も確実で有益な取り組みは、「ものづくり補助金」(次回募集以降)との併用です。どちらも中小企業の成長支援を目的とした補助金ですが、対象事業や位置づけ、目指す効果に大きな違いがあります。

以下、特に重要な3つの相違点をまとめます。

1.補助対象事業のスケール・成長期待値が異なる

  • ものづくり補助金
    主に「新しい製品・サービスの開発」「生産プロセスの改善」など、中規模な投資・革新が対象。
     中小企業の日常的な成長段階を支援するイメージです。
  • 中小企業成長加速化補助金
    「圧倒的な成長」を目指す企業向け。
    単なる製品改良や効率化ではなく、売上倍増・海外進出・事業規模の数倍化など、劇的な成長戦略が求められます。

要するに:

「ものづくり補助金」は改善型、「成長加速化補助金」は飛躍型の支援です。

2.補助上限額・補助率が異なる

  • ものづくり補助金
     補助上限額は750万円〜2,000万円程度が一般的。
    補助率は基本1/2(小規模事業者や特定条件で2/3)。
  • 中小企業成長加速化補助金
    補助上限額は最大5億円と圧倒的に高額。
    補助率は基本1/2です。

要するに:

成長加速化補助金は「超大型投資」を支える設計です。

3.事業選定基準・審査難易度が異なる

  • ものづくり補助金
     技術力、事業計画の妥当性、革新性などをバランスよく評価。
    採択率は回によるが30〜50%程度
  • 中小企業成長加速化補助金
    「5つの成長戦略」に沿った明確な成長ビジョンと実現可能性が厳しく問われます。
    単なる良いアイディアだけでは足りず、資金計画、経営体制、実現手段の裏付けも必須。
     採択率は今後公表されますが、相当厳しい選考が想定されます。

要するに:

成長加速化補助金は「本気の成長企業」だけが勝ち残るハイレベルな審査です。

以上の特色を比較表に纏めると下記の通りです。

 ものづくり補助金中小企業成長加速化補助金
対象事業製品開発・工程改善売上拡大・新市場進出など飛躍成長
上限額最大2,000万円程度最大5億円
審査基準技術力+妥当性重視圧倒的な成長戦略+実現力重視
違いを一言でいうと

✅「まず一歩成長したい」なら → ものづくり補助金
✅「本気で企業規模を数倍に伸ばしたい」なら → 中小企業成長加速化補助金

という選び方になります!

二つの補助金両方申請できる?

結論:制度上は、両方申請することが可能です。

ただし、注意点がいくつかあります。

注意点1:同じ内容では申請できない
  • たとえば、「設備Aの導入による生産性向上」でものづくり補助金に申請して、
     同じ設備Aの導入で成長加速化補助金にも申請する、というのはNGです。
  • 両方に出す場合は、
     対象事業や目的を明確に区別する必要があります。

例:

  • 「ものづくり補助金」→ 工場の一部ライン自動化
  • 「成長加速化補助金」→ 海外向け新製品開発+販路開拓
注意点2:採択後の同時進行はリスク大
  • 仮に両方採択された場合、それぞれの補助事業を別々に、適切に遂行・報告(実績報告)しなければなりません。
  • 実務負担や資金繰り負担が非常に重くなるため、慎重に検討が必要です。

出す順番はどうするべき?

基本的なおすすめ順は:

  1. まず ものづくり補助金(先に成長の「基盤」を整備)
  2. 次に 中小企業成長加速化補助金(基盤を活かして「飛躍成長」に挑戦)

理由:

  • 成長加速化補助金は「成長基盤がすでにあり、さらに加速する」企業向けです。
  • ものづくり補助金で先に工場ライン・設備体制・開発環境を整えた後に、その基盤を活かして、海外展開や売上倍増などの成長戦略を描きやすくなるからです。

リスクの少ない手順は?

二つの補助金が、同時に両方採択された場合の大きなリスクは、実施と報告の管理だとご紹介しました。では、そのリスクを回避するにはどうすれば良いでしょう?それには、並行せず年度を追って順次進める事です。例えば下記の様に示したステップで進めます。

フェーズ補助金活用成功要素
1年目ものづくり補助金内部体制強化(効率化・高付加価値化)
2年目成長加速化補助金外部市場拡大(新製品投入・海外進出)
3年目自社成長売上2倍+自立経営

もし、補助上限額は750万円〜2,000万円のものづくり補助金も、採択後の補助事業実施管理の点で不安があれば、最初に「小規模事業者持続化補助金」の給付を受けて販路開拓を実施してみることもお薦めです。これによって、50万円という限定された金額のなかで受給額請求までの一連の経験を踏むことができます。特に、従来の本業を停滞させる事なく、資金繰り対策・人員配分・会計記帳の追加作業などを体験でき、それが次の補助金申請の際の実現可能性の高い積算の根拠となります。

まとめ

補助金にもリスクがある

中小企業成長加速化補助金は、単なるコスト補助ではありません。「どのように成長を目指すか」を真剣に考え、実行する企業を後押しするための強力な制度です。しかし、問題は「100億宣言」と云っても、実際のところ売り上げ10億円からいきなり100億円に成長するには相当の工夫が必要です。

また、長年のデフレ的経済から脱却し、「投資と賃上げによる成長」のため、1億円~5億円の補助金を受給するにしても見えないリスクもあります。そのようなリスクを回避するには、その他の2つの補助金を順次活用して知見を蓄積する方法がありました。

成功のカギは「早めの準備」と「説得力ある事業計画」

貴方の事業の売上は、10億円にとどいていますか?もし、間もなく届きそうだという企業やすでに数十億円の売り利上げは維持しているという経営者の方は1どはこの「成長加速補助金」を検討して見ましょう。
今回ご紹介した情報を参考に、ぜひ自社に合った成長プランを描き、補助金活用にチャレンジしてください!早めに準備を始め、専門家のアドバイスも活用しながら、納得のいく事業計画を作りましょう!

補助金の組み合わせや、選択順序、複数年にわたる成長計画等で、質問や相談のある方は無料相談を受け付けています。

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