Windows10のサポート終了期限が迫って来ています。今使っているPCをそのままOSだけアップグレードするかにもOneDriveとの強制連携や作動速度等に不安が残ります。そこで、この際買い替えを検討したい方もおいででしょう。一方で、Macも値上げと円安が重なり近年は手が届きにくくなっています。そんな昨今、「業務効率化のために新しいパソコンが欲しいけれど、補助金で買えないかな?」―そんな思いで検索を繰り返している小規模事業者やフリーランスの方は多いと思います。今日は、その答えをお示しします。
実は、一定の条件を満たせば、補助金や助成金でPC購入が認められるケースがあります。この記事では、経済産業省・厚生労働省・東京都などが公募する制度の中から、2025年6月現在でPC購入に使える可能性のあるものを厳選して紹介。「どの制度で、どんな条件ならPCが認められるのか?」という実務的な視点から、あなたのビジネスに本当に役立つ制度をわかりやすく解説します。
「PCを補助金で買いたい」は可能か?【結論と原則】
「業務効率化のために新しいパソコンを導入したい。できれば補助金や助成金を使って費用を抑えたい」。そのニーズに答えられるかどうかは、パソコンの導入目的つまりそのPCで処理する業務の内容次第です。
結論から言えば、補助金・助成金でPC購入が認められる可能性はありますが、“かなり限定された条件付き”です。多くの制度では「汎用性の高い機器(PCやタブレット)」は対象外とされる一方で、「業務改善や生産性向上に資する設備」として導入目的が明確な場合には、例外的に認められることがあります。

なぜPCは補助対象外になりやすいのか?
具体的には、以下の理由から一般的にPCは対象外となることが多いのです:
- 私的利用が可能なため
- 単体では“業務改善”との結びつきが弱い
補助金制度は、それぞれの省庁や地方自治体が主管する産業振興の目的があります。しかし、もしこの制度趣旨とは裏腹に別の用途や目的で、補助金や助成金が利用された事になると原資である税金の使途の正当性が問われます。このため、PC購入を補助対象に含めるためには、特定の業務プロセスの「業務用設備」としての明確な位置づけを申請書に記載することが不可欠です。
例外としてPC購入が認められる補助制度(2025年6月時点)
しかしながら、そうは云ってもPCやタブレットは各業種の現場で、生産性向上に貢献しています。そして、その便利な使い勝手が発展し浸透して来ています。明確な位置づけとは、どの程度強く示す必要があるのでしょうかという疑問が湧くでしょう?
そこで、例外的にPCやタブレットの購入費の一部を認める能性のある下記の4つの制度を点検して行きます。
補助制度名 | 主管省庁 | PC対象の可能性 | 公募期間 |
ものづくり補助金 | 経済産業省 トップページ|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト | 専用用途であれば可能性あり | 令和7年4月25日(金)~7月25日(金) 17時_第20次 |
省力化投資補助金 | 経済産業省 中小企業省力化投資補助金 | IoT・ロボットと一体導入で可能性あり | 令和7年6月中旬(予定)~8月下旬_第3回 |
業務改善助成金(生産性向上枠) | 厚生労働省 業務改善助成金|厚生労働省 | 勤怠・会計処理等と連携で対象可 | ー |
DX推進助成事業(東京都) | 東京都中小企業振興公社 助成金 | 助成金事業 | 東京都中小企業振興公社 | 採択可能性あり(PC・タブレット等) | 令和7年6月11日(水)から7月4日(金)_第1回 |
IT導入補助金の除外について
尚、既に公募が終了しているIT導入補助金については、PC購入補助関する限り二つの点で利用効果が低い為今回の解説からは除外します。
一つ目は、今既にインボイス登録済の事業者は対象外であること。二つ目は、インボイス未登録事業者に取っては、元々納付義務の無かった消費税を今後納付し続ける場合に、メリットよりも負担の方が上回る可能性が高いという点です。
例えば、簡易課税によるの仕入れ控除率の段階的低減等も含め、果たして10万円の補助を受ける事が得策かどうか実際に計算してみる必要があります。無論、前々期や前期既に売上1千万を超過している免税事業者にとっては、この上ないチャンスです。

制度別に見るPC対象条件と適用事例
では、それはどの様な条件が整うと認められるのか詳しく見て行きましょう。
【経産省】ものづくり補助金・省力化投資補助金
■ ①ものづくり補助金

- この補助金では、通常は汎用PC対象外です。
- 例外:専用ソフトと一体で導入されるPC(例:CADソフトに特化した業務用PC)
- ➡ 詳細・公式情報:ものづくり補助金公式サイト
公募要領の説明では、基本的に事務用PC・タブレットは対象外です。但し、例外規定(特例の許可)について下記()書きの部分に記述があります。「ただし、補助事業のみに使用される事が明らかなものは除く。(許可する)」となっています。

出典:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領 (第20次公募) 27頁
以上を要約すると、ものづくり補助金ではPCだけを単独で購入する場合補助対象とはなりません。ただし、デザインソフトやCADソフトなどで、高機能なCPUを搭載している等の特殊性がある場合には、目的とする業務システムと一体(装置+専用ソフト+高機能PC)としてならば審査通過の余地があります。

■ ②省力化投資補助金

- この補助金の目的は、以前にもご紹介したとおり「省人化・自動化」です。
- IoT機器やロボットとセットの構成要素として導入されるPCは補助対象となります。
- 例:画像認識AIと連携する検品システムの制御用PC
- ➡ 詳細・公募情報:省力化投資補助金公式サイト

出典:中小企業省力化投資補助事業(一般型) 公募要領 (第2回公募)18頁
要約すると、省力化補助金では従来ベンチトップシステムと呼ばれて来た「機器やロボットに埋め込まれ一体化されたタッチパネルPC」や、それらと別体であっても完全にその装置の構成要素として機能するPCは補助対象となります。
【厚労省】業務改善助成金(生産性向上枠)
- この助成金の目的は、賃上げ等の労働環境の改善です。しかも、申請者の要件としては事業所の最低賃金が地元都道府県の最低賃金と50円以内の差にと留まっている従業員が居る事が大前提です。
- また、応募時期には指定があり、第1期(令和7年4月14日~6月13日)と第2期(令和7年6月14日~秋の最低賃金更新まで)に分かれます。

出典:厚労省鹿児島労働局ホームページ
- ➡ 詳細:厚労省・業務改善助成金公式ページ
業務改善助成金(生産性向上枠)でこの物価高騰要件に該当する事業者は、PC・スマホ・タブレットと周辺機器の導入が助成されます。但し、留意が必要な点はこの助成金の目的は「賃上げ」だと云う事です。あくまでも、メインの助成金申請コース「①30円コース、②45円コース、③60円コース、④90円コース」の賃上に取り組む事業者に、付帯的に追加されるオプションです。 - 賃上げ計画を提出し、且つ下記の特例事業者要件を満たすことが認定された場合に、業務効率化やデジタル化目的でのPC・タブレット導入が補助対象になります。例:勤怠管理・給与処理をクラウド管理するPCの導入

【東京都】DX推進支援事業

出典:令和7年度中小企業デジタルツール導入促進事業リーフレット
- この制度の助成対象は、「デジタルツール」です。デジタルツールには、通常ソフトウエアとそれを動かすPCやタブレット等が含まれます。
- 採択イメージの説明事例:POSレジ一体型タブレット、現場用の耐久型ノートPCなど
- ➡ 詳細:DX推進助成事業(東京都中小企業振興公社)公式サイト
基本的にPC・タブレットは対象外です。但し、例外規定(特例の許可)について下記*印の部分に記述がある様に、「設備等の稼働・故障診断ソフトウエア導入」や「当該ソフトウエアがインストールされたもの(PC等)」が必要となるときには、助成対象となります。

出典:令和7年度 中小企業デジタルツール導入促進支援事業 | 事業 | 東京都中小企業振興公社
以上の様に、この助成金もPC購入には向いていません。
PCが補助対象になるためのポイント
この様に概観してみると、現行の補助金・助成金の中でPCやタブレットを単独で購入する為に使えるものは厚労省の「業務改善助成金」だけでした。しかし、これも「賃上げ」という交換条件が付帯しており、IT導入補助金の「これからインボイス登録する」というケースよりは間口が広がっていると思います。
ここで、今後の為にこれらの補助金・助成金のPC購入の規制が緩んだ時の為ご参考までに、通し易くなる申請のポイントを見て置きます。
汎用機とみなされないためには?
- 家庭用・個人用ではなく、業務専用の仕様や利用目的を明確にします。
汎用性が無い事をアピールする為、プライベート使用の可能性が無くPCの仕様上専ら業務専用である事を明らかにします。 - 「導入ソフトウェア」「用途」「業務フローとの関係性」を必ず記載します。
特に専門業務のプロセス明確になる、「ソフトウエア名称」や具体的な「用途」の説明或いは「業務フロー図」を示しその工程でどの様に使われるかを具体的に記述します。

「業務用ソフトと一体」で導入すべき理由
- 補助金審査では、ハード単体よりも業務改善との一体性が評価されます。
例えば、あるショップのカウンターで代金を受領しお釣りと領収証を渡すプロセスがあり、そこでは
①クラウド会計システム、
②タブレット端末、
③プリンターの3つの機能が一体として機能していたとします。
この様な場合、仮にタブレット端末を業務終了後このシステムから解除し、翌朝また接続し直すなどの使い方は業務継続に取って大きなリスクとなります。従って、これらの機器やソフトウエアは初期設定で接続した後は一切変更を掛けません。
その結果、②のタブレット端末は最早スタンドアロンのデジタルツールではなく、お客様の会計対応システムの構成要素の一つとなります。 - もし仮に、それが夜間取り外して、マーケット調査やメールのやりとりに使い、翌朝再接続してトラブルが発生してもお客様のお会計処理上困らないならば、それは業務プロセスに不可欠な「専用システム」を構成するPCとは云えなくなって来ます。従って、「専門システム」性をアピールするには、仮に転用が出来てもその他の機能には別のPCを充てて、用途ごとにタスクを分けると明記されると良いでしょう。例:「受発注業務の一元管理のためにPCが必要」と記載して申請するPCなど。

採択率を高めるコツ|説明のしかたと見積書の工夫「業務用途」だと伝える3つの工夫
また、事業計画書や見積書に記載する時にも、以下のキーワードを書き落とさない様留意します。
- 導入目的を「業務改善」として具体的に記載
「業務改善」は、業務の効率化と表裏一体をなす言葉です。この機器の、補助事業に対する貢献度を示唆します。 - 使用ソフトとPCとの関係性を図示・説明
ある業務プロセスの中で、PCとソフトウエアを含む一定の機能がどの様な処理をするか図示し簡単な解説を付記しましょう。 - 見積書に「用途限定(業務用)」と明記
見積依頼時には、タイトルや製品の但し書きに「用途限定(業務用)」などの文言を明記し、見積時にも同様の表記をするよう相手先に依頼して置きましょう。

【参考】実際にあった申請成功例
ここで、実際にPCやタブレットが補助金で導入された場合の、姿形や機能についてイメージを深めて頂く為に事例をご紹介します。ただし、これはは昨年度以前の実績の為、上記で検討した制度や申請要件とは少し異なるものも含まれます。
【成功例①】POSレジ一体型タブレット導入
静岡県のシーラカンスカフェでは、タッチパネル型のテーブルオーダーシステム導入しお客様が自分で注文をするプロセスを導入しました。その結果、会計と顧客対応の時間を大幅に短縮でき人で不足の解消に繋がりました。
参照ポイント:
キャッシュレス化促進としても評価されました。
小売業で会計・顧客対応の時間短縮に成功しました。


出典:コーラルウェイ有限会社 ITツール活用事例 | IT導入補助金2025
【成功例②】テレワーク用PC導入+勤怠管理システム
東京都の株式会社ITコンシェルジュサービスでは、テレワーク基盤を整備して社内データの一元管理と商圏の拡大を同時に実現しました。

出典:ITツール活用事例 jirei-itconcierge.pdf
成功事例から学べる傾向
これらの導入成功事例に共通する使い勝手があります。それは、①販売や営業活動の、売り上げに直結する場面で活用されている事。②スタンドアロンのPCやタブレットではなく、一定の機能連携や広域の相手先とのネットワークを含む専門的なデータや大規模な情報連携をしている事です。
申請前にチェックしたい注意点
「PCを入れたいから申請する」は禁物です
- 補助金申請は「目的ありき」
まずは、PCやタブレットが貴方の目指す業務プロセス効率化のどの部分で必要不可欠なのかを再確認しましょう。目的は、業務プロセスの合理化や生産性の向上です。 - PCは“手段”として業務改善ストーリーの中に組み込むこと
そして、目的が明確になった所で適切な補助金とその補助上限と補助率を参照し、特にPCを含むどの様な仕組みであれば申請要件に該当するのかについて公募要領の規定を確かめます。

不採択を避けるための3つの視点
- 業務改善計画との整合性
上記の手順でご検討頂くと、自然に補助事業の主目的とPCやiPadを含む「業務システム」の調和がとれます。 - PCの業務プロセス内での位置づけ
そして、そのPCは業務プロセスを突発事故で停止させない為一切流用が出来ない事を前提にします。 - 他の経費(ソフト・外注費など)との費用バランス
また、省力化補助金カタログ枠等の一部の補助金を除き、システムを構成するハードウエアとソフトウエア及び据え付けは初期トレーニング費用の合計は、業務改善助成金(生産性向上枠)を除き、全体の申請額の1/4程度に規制されている場合が殆どです。要は、本来の業務目的の「装置の設置」や「自動化」、「宣伝広告」等のアクションの補助的施策としてPCと一体化したシステムが補助対象として認識されている傾向があります。

まとめ|LINE登録で無料相談・資料プレゼント
PCが補助対象になるかどうかは、「制度選び」と「導入目的の説明」がカギです。但し、これ迄見て来た様に導入初年度に認定される事例は、タッチパネル式オーダーシステムやテレワークシステムを構成する(汎用機能が限定された)デジタルツールなどです。言い方をかえると、社内の総務や一般事務で使用する汎用PCやフリーランスの方が事業に使おうとするPCは自己負担となります。その理由は何でしょうか?
補助金主幹省庁や自治体の隠れた意図の理解
冒頭述べた通り、そもそも補助金には支援目的がありそこから逸脱する余地のある対象経費を除外したいからです。その為、汎用PCやタブレット端末は本来単独で認定出来ないのですが、特例として主管省庁が「インボイス登録」「賃上げ」などのキャンペーン運動を強力に推進したい時に、親切なチラシを沢山発行したりデジタルツールの支援制限を解除します。この原則を知って置いて頂ければ、今後のPC購入認可が出る補助金・助成金が急に浮上して来ても真意をいち早く理解し申請対応する事が可能となります。

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