先月後半から、ゴールデンウィーク突入前までは申請件数も多くなった模様で、審査の所要期間も長くなる現象が起きました。当事務所に寄せられたフードバック情報では、申請ボタンを押してから入金するまでのリードタイムは、簡易申請の個人事業主で約8日基本申請の法人で約14日という状況でした。特に、最初の形式審査に入るまでに1週間以上順番待ちとなっている様子が伺えました。今日は、無事150万円受給された法人様の事例、請要領書や事務局のQ&Aに載っていない「事前確認にパスできない事例」の一部及び「法人独特の申請時の見つけにくいミス」をご紹介します。この記事を最後までお読み頂くと、後戻りの無い申請準備のポイントを知る事が出来ます。
150万円もらうには??
これは、下記中小企業庁のチラシの通りです。基準月を含む決算期の、年間売上が1億円以上。150万円貰えるとは「知らなかった」という社長が意外に大勢おいでになります。至急、点検して置きましょう。
貰えた「実録お客様の声」
以下は、現場のインタビュー記録です。お客様のプロファイル概要は以下のとおりです。
- 会社の所在地:神奈川県横浜市、
- 業種:土木・解体業、
- 受任業務の経過:
K社様のO社長に申請代行サービスをご依頼頂き4月18日にご訪問し5月6日に着金しました。
一連の作業の日程と所要日数は以下のとおりでした。
- 4月18日(月)初回面談————1時間40分で申請ID登録・事前確認実施
- 4月18日(月 申請ボタンを押す———————————–同日夕方
- 4月30日(土)支援金事務局からの補正指示連絡——-審査着手まで12日待ち
- 5月1日(日)補正対応と税理士による追加資料手配依頼と補正
- 5月2日(月)審査完了————————————-申請から14日目
- 5月6日(金)口座着金確————金融機関営業日で2日(合計14日で入金)
- 5月10日(火)第2回面談:7年間保管書類納品(申請画面と添付文書のファイル一式)
以下、業務完了報告ファイルをお届けした際の「お客様の声を」収録したインタビューの要旨です。
- 最初にコンタクトして頂いたきっかけは何でしたか?
- このサイトが、ウェブ検索サイトの上位に表示されていたからクリックした。
- ご依頼頂いた決め手は何でしょう?
- 自分で申請がやれるか、色々調べていたが思ったより面倒くさいことが分かった。
- 良く手続きの流れを見ると、持続化給付金の時よりかなり複雑だと分かり自分だけでは少し厳しいなと感じた。
- (当事務所の)ホームページの内容や経歴もしっかりしていたので、半分は直観だがこの先生なら頼りになるのではないかと判断し任せてみる事にした。
- 有料の申請代行で手数料が掛かったが、そのコストを割り引いた上で、良かった点と悪かった点は何ですか?
- 悪かった点は、殆ど感じられなかった。
- 自分で色々調べたり書類を作ったりすると数日費やすが、それを費用面と比較すると全部お任せすることで自分は事業に専念できたので良かったと思う。
4.今回の給付金(150万円)は、役立ちましたか?
- 毎月決まって、業者への支払いや社員への給与は出て行くので資金繰りの面で助かった。
5.今回の様な、有料申請代行サービスは知人やご同業の方に奨めても良い程度にきちんとしていると思いますか?
- 実際に、締め切りは差し迫っているが知り合いの経営者で受給を薦めたい所が一社ある。
- 支払い手数料も莫大な訳では無いし、思ったよりスムーズに手続きが完了した。自分でやる事を考えれば、これならお薦めできるなと感じた。
以上:横浜市K社様にて5月10日収録の録音から書き起こし
事前確認ではこういう方は通りません
締め切り直前のこの時期は、事前確認で一度不合格になると次の事前確認の機会はもう無いかも知れません。以下の「失敗事例」と「対策」をご参考に、時間切れで支援金が貰えなくなる事を予防しましょう。
貰える大家さんと貰えない大家さん
大家さんには、二通りのジレンマがあります。一つ目は、本業が何らかのサービス業や小売業でありながら店舗の上がアパートになっていてその収入の比率が本業に近い額にのぼる場合。二つ目は、アパートや賃貸家屋を貸して生計をたてているが、ご自身が青色事業主なのか或いはそうでないのか良くわからない場合です。今回は、後者に焦点を当てて掘り下げてみます。まず、大家さんの確定申告上の事業分類はなんでしょうか?
貰えない大家さん_確定申告書の一行目の数字がゼロ
申請要領書をよく読まないと気付かないのですが、下記の様に書かれています。
ご自身が、青色決算書の税務署受領スタンプをお持ちでない方、アパートや家屋賃貸業を営んでおられる方の中には下記の様に、確定申告書B表の一行目が空白になっている場合があります(要は、不動産収入があっても事業収入は0という事です)。
この二つの要件を照らし合わせると、申請料要領の「事業所得の落ち込み」の要件に該当しない事が判ります。従って、不動産賃貸業を営む大家さんであってもこの様な方は、税務署に「青色事業者開業届」を提出しているにも関わらず事業復活支援金が貰えません。
では、事業復活支援金が貰える大家さんはどの様な場合でしょう。これは、アパートであれば概ね10室以上・戸建てであれば概ね5軒以上の賃貸物件を保有されている大家さんです。目安は、青色申告控除額が650,000円になって居る方です。この様な大家さんの確定申告書の第一行目は、0ではなく実際の売上げが記入されるので上記要件に該当します。これが事業復活支援金を「貰える大家さん」となります。貴方が、貰える大家さんだったなら急いで申請の準備をしましょう。
コロナ禍が進むほど売り上げが増えた事業主
季節性の売上変動が明らかで、それを落ち込みだと主張する場合は受給要件に該当しません。これと類似したケースで、コロナ禍前の売り上げが少なく2019年<2020年<2021年と年を追うごとに年間売上額が10%程度増加しているケースがあったとします。しかも決算期の駆け込み売上月の比較で、年度と比較し50%以上落ち込んでいるという場合、下記の受給要件①と②のうち②はクリアしています。しかし、①は本当にこの36ヶ月のうちこの1月だけがピンポイントでコロナ禍の影響を受けて激減したと証明できるのかが争点となり精査が必要となります。
この場合、恣意的に売り上げ金額をこの1か月のみ調整していないかという疑問が生じます。そこで、それを払拭する為には過去の同月と比べて大きく落ち込んだ原因となる特定取引先の受注額激減の背景を疎明する資料が必要となります。
対策
具体的には、基準月と対象月の売上の明細を比較します。特に、大口の取引先で基準月には売り上げがあるのに対象月には激減又は消滅した理由を調べます。その、顧客からの受注の減少原因が、客観的にコロナ禍の影響であると云い切れるならば間接的にコロナ禍の影響を受けて売り上げが落ち込んだと言っても良いかも知れません。一番避避けたいのは、受給の数年後に当局が精査した結果誤った支給だと判定された時は申請者に多くの損害や負担が生じる点です。従って、この確認作業と事前確認インタビューでの説明の準備には相当の手間がかかりますし、事前確認機関も丁寧にインタビューする必要がある関係で有料確認で一定のコストが掛かる事も心積もりしておく必要があります。
現金取引ではないが基準月の売上が通帳上で証明できないケース
現金取り引きがベースで、通帳を見ても何も売り上げの取引記録が無いという業種は多く存在します。この場合は、申立書を提出すれば何も問題有りません。しかし、B to B取引である企業や法人向けの売上もあるので「通帳記録があります」と言ってしまう個人事業主の方はトラブルに巻き込まれ時間をロスし勝ちです。
その理由は、青色事業主の申請者は一般的に売上金額だけに着目して基準月を決めてしまう傾向があるからです。実は、その後で第二のゲートがあり、その基準月の売上台帳の中の一つの取引が、貴方が発行した請求書発行金額及び通帳の入金記録と一致するか否かを調べます。実はこちらの方が大事です。
そして、一致する取引案件が全く無い月を基準月に選んでしまった場合は他の月で再検討する必要があります。さらに、法人への売り上げがあるにも拘わらず通帳記帳も無ければ請求書も発行していない場合も稀にみられます。特に、請求書を発行する習慣が無い業種の場合は特別な意が必要です。不定期的に生じる銀行口座振り込みの取引記録を探すよりも、現金取引ビジネスとして申立書を提出し売上台帳と請求書にハイライトやマーキングをして証明する方が早い場合もあります。ただし、コールセンターで事前に具体例を提示して相談される事をお薦めします。
法人の申請時に気付き難いミス_法人事業概況説明書の表面と裏面の食い
最後は、年間売上額1億円以上法人にありがちな申請時の隠れたミスの論点です。これは、事前確認の際に見破れると良いのですが、申請後に集計数字そのものが誤っていた事が判明した場合などは期限内の補正が困難になる可能性もあり注意が必要です。
それは、申請後に補正依頼が来る原因の一つとして事業概況説明書の表面年間売上の数字と裏面の月別明細合計の数字にずれがあるケースです。実は、裏面の月別売り上げ額の数字は、月ごとに千円未満を切り捨てて表示して良い事になって居ます。
また、この事業概況説明書は確定申告上必須の提出資料ではありません。その結果、事業概況説明書の集計数字自体の精度が完全でない場合もあります。にも拘わらず、事業復活支援金の審査はこの事業概況説明書の裏面の月別売上集計の合計額を評価します。要するに、国税庁と経済産業省のフォーカスする文書や評価基準にずれがありそれが原因となって生じる問題です。
従って、いかに正しく上記スクリーンショット①の数字を転記しても、裏面の合計がズレていれば不適合となります。そして、経済産業省の基準に従う支援金申請後審査部門が、事業概況説明書表面の年間売上額と裏面の月別明細の合計数字との間で齟齬を見つけた時は補正の指示連絡がマイページ上で表示されます。
対応策
この補正指示が来た場合には、申請のエビデンスとして申告した全ての年度の売上明細リストをプリントアウトし税理士の署名を付して提出します。また、補正指示が来たのに気づかないでいつまでも放置し期限内に対応できない場合は「申請取り下げ」をするか迫られる事になります。別の回避策もありますが、詳細はお問い合わせ下さい。
まとめ
いよいよ、事業復活支援金の事前審査締め切りまであと2週間となりました。これから、事前確認を受けようとされる方は時間がありません。しかし、申請要領を何度読み返しても書かれていない事もあります。ご自身の、事業経営者としての時間単価をアウトソースコストと比較して下さい。もし、それがペイする価格であれば申請のアウトソースも一つの選択肢です。また、今後の株主総会の準備等優先順位の高い業務を抱えておられる法人事業主の方も一度申請代行をご検討されては如何でしょう。
法人事業主の方は、とくに受給金額が大きくなり受給可否が今後の大きな分かれ道となります。少しでもご不明な点があれば迷わずご相談ください。