やがて5月の声を聴くと、急に暑さがやって来ます。そして、米の減反政策から生じた多くの耕作放棄地やソーラー発電パネル設置基地或いは空港や公園等は雑草対策の問題が生じます。農地では、草を刈っても利益はでません。しかし、放置して置くと負の効果が蓄積するというジレンマに悩まされます。昨今、高機能草刈り機は、かなり高額の製品も出回っています。これらは、ある機能を備えて居れば手厚い支援が適用される可能性があります。この記事では、補助金で高機能草刈り機械の導入を検討している皆様向けに、購入に活用できる様々な補助金や助成金を徹底比較します。あなたの業種やニーズに最適な補助金を見つけ、コスト負担を下げ作業効率を上げる為に賢く導入しましょう。この検証方法を知って頂くと、その他の機械設備導入の際の補助金選択のヒントが得られます。

ラジコン草刈り機導入のメリットと補助金活用の重要性
人手不足解消と作業効率向上
ラジコン草刈り機は、高齢化や人手不足が進む農業現場等において、作業負担を軽減し効率を向上させる有効な手段です。 特に山間地域など、従来の草刈り機では作業が困難な場所でも活躍します。 しかし、これらの用途であっても製品だけに注目して安易に購入しようとすると支援が受けられない場合があります。使用目的と補助金制度が求める要件を比較検討し、最新技術を賢く導入することで、コスト削減と効率アップの二重のメリットを手に入れましょう。

農業現場での健康負担軽減
ラジコン草刈り機の導入は、遠隔操作で安全に作業できる為作業効率を維持しながら、オペレータは日陰や冷房の効いた空間に留まる等熱中症対策の選択肢も広がります。 特に、広大な農地を管理する農家やソーラー発電所の敷地管理者にとっては、真夏の炎天下で機械に乗車したり押したりする作業は過酷であり人手を確保するのも困難になります。

土木・建設その他の作業現場でのコスト削減と安全性の向上
また、土木・建設や道路施設等の管理業務の現場でも、人手不足と賃上げ圧力の中現場の効率化は待ったなしの課題となります。 従来の草刈り作業では、道路の中央分離帯や法面の草刈りで作業者が直接危険な場所に立ち入る必要があり安全性確保の課題もありました。そこで、ラジコン草刈り機を使用するならばで転落や刈刃による怪我のリスクなどを大幅に軽減できます。

補助金の種類と選び方のポイント
最新のラジコン草刈り機は、環境に配慮した設計がされており、バッテリー併用型も出てきています。 これにより、環境負荷を低減しながら、効率的な草刈り作業を実現できます。一方で、遠隔操作でない草刈り機も従来から多数存在します。これらの違いは、活用されている技術の革新性や生産性効率の差にあります。一方で、機械や設備の導入に利用できる補助金や助成金の種類は多岐にわたり、それぞれ対象となる事業規模や業種などが異なります。では、 それぞれの補助金の対象者、補助金額、申請要件などを比較検討してみましょう。

ラジコン草刈り機の導入に利用できる可能性のある政府の支援策は、①ものづくり補助金、②小規模事業者持続化補助金、③IT導入補助金、④スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート補助金、⑤中小企業省力化補助金、などがあります。
では、どの様な要件が求められているのでしょうか?以下個別に検討して行きます。
各補助金情勢金の支援目的と応募要件
先ず、支援策の目的と草刈り機活用現場の事業としての整合性を点検します。
①ものづくり補助金を活用したラジコン草刈り機導入
革新的な新サービス開発性
ものづくり補助金では、「製品・サービス高付加価値化枠」が該当する可能性があります。その適用要件は、「革新的な新製品・新サービス開発」で、「顧客等に新たな価値を提供するこ とを目的としています。 逆に、対象外となるケースは「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わない」場合です。

農業現場への適用可能性
ラジコン草刈り機の導入は、それだけでは「単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製 品・新サービスの開発を伴わない場合には補助対象事業に該当しません」と規定されています。従って、農業経営者が応募を検討する場合は、ロシアのウクライナ侵攻以来世界的に高騰した肥料や燃料の節減や除草薬の排除を実現する「新しい農業経営手法」を模索する為に、「トラクターで耕さず、エネルギー効率の良い自然農法を開発する」等の事業計画が作成出来れば採択が期待できます。

もし、従業員5人以下の事業主であれば100間年~750万円までの間で補助を申請できます。その場合の補助率は、小規模事業者であれば2/3となります。ポイントは、ラジコン草刈り機と「革新的なサービス」の関連性をどうデザインするかという点です。因みに、草刈り目的でトラクターを調達しようとしても、この補助金は適用でません。トラクターには、運搬車両その他の汎用性があるからです。
土木・建設・設備管理事業者としての適用可能性
土木や設備管理等の事業では、肥料の節減課題は該当しません。もっぱら、作業の安全性と作業効率の向上を目指した「革新的な新製品・新サービス開発」の取り組みに必要な投資により「新製品・新サービスを開発すること」に繋げられるか否か次第です。

この場合、申請する法人の規模が例えば従業員21~50人だとすると100万円~1,500万円となり、補助率は1/2となります。従って、自社で1,000万円負担すると補助金を1,000万円受給できるので、合計で2千万円の機械を購入する事が出来ます。その事を考慮すると、投資規模的には数百万円のラジコン草刈り機以外に、高速道路の法面の雑草や灌木除去の可能なアームのついた大型機械も選択肢に加わります。その場合の事業計画のポイントは、安全な高所作業や高速道路の通行制限時間の短縮を含む生産性の飛躍的向上が考えられます。

ラジコンタイプと手押し・乗車タイプとの違い
適用が難しいのは、ソーラー発電基地の下草の刈り払いの場合です。その理由は、肥料の節減や高所危険作業の改善というニーズが希薄になるからです。その場合、従来型の草刈り機では技術的難点からは「革新的な新サービス開発」には繋がりにくいと考えられます。

しかし、コストが従来品の4~5倍するラジコン草刈り機であれば逆に、幾つかの「革新的な新サービス開発」を構成できる可能性があります。その場合の事業計画のポイントは、長時間の炎天下で現場作業から作業員が解放される「健康負荷軽減上」のメリットや、自走プラログラム等を組み込んだ夜間作業による「作業効率の向上」あるいは「ドローンに拠る追従監視との組み合わせ」などです。

②小規模事業者持続化補助金を活用した経営改善
補助対象となる事業と補助金額
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や生産性向上などの取り組みを支援するもので、 ラジコン草刈り機の導入も、これらの取り組みの一環として補助対象となる可能性があります。例えば、ラジコン草刈り機を導入することで、新たな顧客を獲得したり、 既存の顧客へのサービスを向上させたりすることができます。

また、ラジコン草刈り機の導入に関連して、研修費用や広告宣伝費なども補助対象となる場合があります。通常枠の補助上限は50万円で、補助率は2/3です。従って、この枠では最大75万円の機械までしか購入できません。また、その申請目的も「新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発 等)や、販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組」である事が求められます。つまり、ラジコン草刈り機を広告塔替わりに使う戦略が適して居ます。

農業現場及び土木・建設・設備管理事業者への適用可能性
まず、販路開拓については草刈り機自体または高機能草刈り機が新市場参入を促す効果をアピールするには多少の困難が伴うと考えられます。しかし、総額75万円の投資金額の範囲内で農業経営の付随業務として、耕作放棄地の草刈りの外注業務を新たに始めたいという事であれば「販路開拓」性が認められる余地が出てきます。そして、その前提が認められるならば購入機器の機能に応じて「生産性の向上」も認定可能となります。但し、留意すべき点は、「通常の事業活動のための費用、単なる取替え更新の機械装置等の購入は補助対象外」となる点です。また、専業農家でJAその他の固定した系統販売のみに依存した売上で成り立っている業態で、1次産業の域を出ない場合は補助対象となりません。この点、 地域の商工会・商工会議所は、小規模事業者の経営支援を行っており、 小規模事業者持続化補助金の申請に関する相談も受け付けています。お住まいの地域の、 商工会・商工会議所に無料相談に乗って貰うことで、経営計画書の作成や申請書類の準備などについて、専門的なアドバイスを受けることができます。

③IT導入補助金を活用したスマート農業化
通常枠とデジタル化基盤導入枠
IT導入補助金は、ラジコン草刈り機と連携可能なシステムやソフトウェアの導入にも活用できる可能性があります。 通常枠は、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する経費の一部を補助するものす。 しかし、下記の図に示した様に、通常枠で予定されている「業務プロセス」の内で該当が有るのは、「汎用・自動化・分析ツール」の内の「自動化」のみです。ラジコン草刈り機と連携可能な、ドローンシステムやソフトウェアを導入することで、 草刈り作業の効率化やデータ分析による経営改善なども期待できますが残念ながら現在の所登録製品や業者は存在しません。

従って、インボイス制度に対応した会計システムや受発注システムなどを導入することもを主目的とする「IT導入補助金」の適用は困難と云えます。
④スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート
もし、草刈り機を農業機械と位置付けてスマート農業のコンセプトで助成を受けるならば、やはり農水省の「スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート緊急対策事業」が最も向いていると言えます。下記のチラシは、令和7年の者ですが予算は前年度のもので本年2月に募集は終了しています。しかし、本体価格が50万円以上であればドローンや「リモコン草刈り機」も対象となっています。令和7年度の予算が確保され公募が開始され次第応募するのが良いでしょう。


⑤中小企業省力化補助金
次は省力化補助金です。

省力化補助金のカタログ注文型には、建設業対象の製品はありますが農業や設備管理業に関連する製品の該当はありません。カタログ製品は「どんどん追加中」とはいうものの、残念ながらまだまだ足りて居ません。

2025ラジコン草刈り機導入の事例紹介
農水省の支援制度で認定をしているラジコン草刈り機
農水省が推進するみどり認定制度では、環境負荷低減に取り組む農業者の活動計画を当道府県が認定しています。みどり認定を受けると、日本政策金融公庫の融資の優遇を受ける事ができるほか、購入した機械や装置の特別減価償却が認められます。

事例紹介:農水省の支援制度でラジコン草刈り機を導入した成功事例
この制度を利用して、実際にラジコン草刈り機を導入した事例を紹介します。農水省では、令和7年4月11日時点で92の事業者に対して、「基盤確立事業実施計画」を認定しています。

令和4年11月1日(令和6年12月20日)に、株式会社オーレックが認定を受けました。ここでは、水田用除草機とラジコン草刈り機を活用し、環境負荷軽減と有期農業の取り組みを実施しました。

出典:農水省/認定を受けた基盤確立事業実施計画midorihou_kibann-182.pdf
令和6年8月9日に、オカネツ工業が認定を受けました。この会社では畦畔や法面でのラジコン草刈り機による除草を普及させる事で、農薬の使用低減に貢献する取り組みを行っています。

出典:農水省/認定を受けた基盤確立事業実施計画midorihou_kibann-161.pdf
令和6年11月15日に、株式会社筑水キャニコムが認定を受けました。最大45度の急傾斜地に強いラジコン草刈り機の普及を拡大し農薬使用量の低減に寄与する取り組みを行っています。

出典:農水省/認定を受けた基盤確立事業実施計画midorihou_kibann-171.pdf
これらの事例からわかるように、農水省ではラジコン草刈り機の導入やドローンの導入を通じて、農薬散布量の低減による環境負荷の軽減対策を支援しています。
まとめ:補助金活用でラジコン草刈り機を導入しスマート農業を実現しよう
最適な補助金を選び、賢く導入
以上の通り、機械そのものを支援の対象にするタイプの「IT導入補助金」や「省力化補助金」にはラジコン草刈り機の該当はありませんでした。一方で、「ものづくり補助金」や「持続化補助金」では、事業展開が問われており、「革新的なサービス」を開発したり「販路開拓」をする上で有効な道具として機能する事をアピール出来た場合には認められる可能性がある事が解りました。一方で、農業経営者は、迷わず農水省のみどり認定制度で実績のあるモデルのラジコン草刈り機を導入する事が最もお薦めである事も分かりました。但し、農業以外の目的ではこの制度は使えません。
人手不足や高齢化が進む事業の現場において、ものづくり補助金、IT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など、それぞれの補助金には、対象者、補助金額、申請要件などが異なるため、事業特性に適した使い分けが必要でした。また、農水省や厚労省などの助成制度も業種によっては更に便利な場合がある事も分かりました。
今後、社屋や工場や店舗或いは設備や機器を更新したいという場合、10種類以上ある補助金のどれが適切で最も有利かという点に迷う事もあるでしょう。当オフィスでは、その様な場合に無料相談をお受けしています。 お気軽にご相談ください。
スマート農業を実現にむけ、 持続可能な農業経営を支援することができ引き続き国産の美味しいおコメが食べられれば幸いです。
